チームでの.NET開発に必要な本「C# .NETアプリケーション開発徹底攻略」

.NET/C#の参考書はたくさん出ているけれど、APIの使い方のようなリファレンスでなく、そのようなAPIの何に注意してどのように開発すべきかを示したのが「C# .NETアプリケーション開発徹底攻略」だ。「APIを使い過ぎない工夫が必要だ」でも書いたように、APIの具体的な使い方はMSDNのようなリファレンス資料を見れば分かるけれど、その「APIはどのような設計で使うべき」、「このような状況では使用を避けるべき」、「こんな使い方に注意する必要が有る」なんていう親切なアドバイスは何処にも載っていない。

残念ながら、そのような「使いのこなし方のコツ」というものは、実際にソフトを組んで使ってみないことには分からないことが多く、ある程度の蓄積が必要なため時間がかかったりする。また、たくさんの開発者が絡む開発では、その理解度や習熟度に大きな差が開いてしまうことが珍しくないので、予め指針を示しておいた方が混乱が少ないし、同等レベルの実装を行っておくと保守性も維持出来ることが多い。

この本は.NET/C#を初めて習う開発者が読むものではなく、ある程度の開発経験を持つ人が、そのような実務上のノウハウを習得するために読むのが適切だ。書籍の冒頭に記載されているように「C#開発の経験があり、言語仕様について一通り理解できている人」が、実際に開発を行う場合に陥りやすいポイントを学ぶためのものなのだ。だから、.NET/C#を知らない場合は別の書籍を読んで学んでおいた方が望ましく、いきなりこの本を開いてもあまり理解出来ないことだろう。

.NET Frameworkによる業務アプリケーション開発を始めるには、システム開発の一定の手引きやルールが必要です。開発者にとって本当に必要な情報、それは「方法」や「理論」ではなく、「言語仕様に対してどうすべきなのか」「設計で考慮すべき要素は何なのか」「業務アプリケーションとしての信頼性、セキュリティの確保はどうするのか」、といった観点ではないでしょうか。本書ではこれらの観点を考慮して、他の情報ソースとは差別化できるように考えます。

もちろん書籍でカバーされている範囲に限界があるし、細かなノウハウはこれだけではないけど、こんな視点で開発の指針を示してくれる書籍は貴重な存在だと思う。ある程度の開発経験を持つ人なら、この内容を読んで思い当たる節が少なくないのではないだろうか。.NET/C#の書籍はたくさん有るものの、他の本には見られない独自の視点が載っているので、.NET/C#の開発者なら是非とも目を通して欲しいし、他の環境にも同じような内容の本が出てくると嬉しいと思う。

C# .NETアプリケーション開発 徹底攻略 C# 3.0/.NET Framework 3.5対応

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