PMP受験体験記〜まとめ編

PMP試験の体験記も今回が最終回となる。幸いなことにPMP技術士に比べるとずっとメジャーな資格なので、書籍やネット上の情報は豊富だ。PMP試験に対する捉え方は人それぞれだと思うので、経験者の一つの事例として読んで貰えれば嬉しいと思う。

技術士試験体験記〜まとめ編でも書いたけど、資格の有無は仕事の品質にあまり関係しない。PMPの資格を持っていなくてもプロジェクトマネージャとして優れた成果を出す人がいる一方で、PMPの資格を持ちながら「プロジェクト管理の基本が分かっていないのでは?」と思えるほど酷いアウトプットを出す人もいる。だから、PMPを持っているから安心という訳ではないし、PMPを持っていないから問題ありという訳でもない。PMPはあくまでも資格に過ぎない訳で、成果との直接的な関連性は低いと思う。

とは言え、PMBOKという共通の知識をベースに話しが出来るのは、実務者としてはなかなか便利だと思っている。技術士の様に個別の経験に基づく試験ではなく、PMBOKというガチガチの(とは言い過ぎか)知識体系をベースにした試験なので、PMP取得者なら同じ知識を持っていて然るべきなのだ。全く面識のない人が集められたプロジェクトの立上げ時期において、相手の思考や手の内が分からず話を進めにくいと思った経験が有るけれど、そんな時にPMBOKの共通知識を持ち合わせていると、相手の考え方のベースが分かるので話が進めやすい気がする。

組織の中で、「同じ学校の出身」「同じ故郷の出身」「同期の入社」の仲間同士でやたらと団結力が強いことが有ったりするけれど、これは持ち合わせている共通点が同じなのでお互いの思考が受け入れやすく、それを基点として話がし易いからではないかと思う。そんな横の繋がりはなかなか便利なものでは有るけれど、遥か昔の共通点をベースにし続けるのは無理が有るし、歳を重ねるほどに共通項を持つ仲間は減ってしまうのだ。

でも、そんな昔の共通点が無い場合でも、PMPの様な資格を持っていれば初対面の人でも話は進めやすく、ずっと効率的にプロジェクトを運営出来る気がする。むしろ、国境の垣根を越えて人材の流動化が進むこれからの時代において、標準化された知識を学ぶ重要性は更に高まる筈だし、その証の一つとしてPMPの資格が役に立つのではないかと思っている。

重要なことは、標準化された知識を体系的に学ぶということ。その対義語は、経験から学ぶということですが、これらはいずれか一方だけでは不十分であるということに気づかなくてはいけません。何よりも必要なことは、軸にそって議論ができることです。お互いに経験だけで実績を上げてきた人同士は、それぞれの議論がどうしてもかみ合わない場面が出てきます。
(中略)
しかしここで営業に関する理論的なフレームワークの知識があれば、互いの経験の違いを認識したうえで、現在着目すべき課題を明確にし、解決のための方向性を具体化するための議論ができるようになるのです。

たたき上げか、資格取得か 人生100年時代の分かれ道