開発者を使い捨てにする会社の話

開発に関わる種々の問題を抱えている状況はどこも似たようなものだし、開発者同士でアイデアを出し合ったり、上手くいった(行かなかった)事例を紹介すれば、互いに参考にしながら上手くやっていけそうな気もする。だから、商売云々の話は別として、開発現場での取り組み事例などは非常に気になるトピックスだったりする。

そんな事を考えつつ或る人と話をしていたら、その内容が強烈だったので差し障りの無い程度に紹介してみたい。

  • 現場で使えない人間は退職に追い込む。わざわざ教育しなくても代替の開発者は他に幾らでもいる。
  • 毎年xxx人を採用して、同じ数の退職者が出る。生き残った者だけが仕事を続けられる。
  • 開発現場を回すのがマネージャの仕事。そのためには人月単価の安い下請けを使うことが必須だし、常に安い所を探している。
  • Excelさえ有れば仕様書を書けるし、人員計画、ガントチャートや進捗報告も作れる。だから、他のツールは不要。
  • テスト駆動開発チケット駆動開発なんて知らないし、やったことも無い。そんなものは開発の些末なことに過ぎない。

たまたま持っていたチケット駆動開発の書籍を紹介して、参考にしたらどうですかと勧めてみたのだけど、中身を見ることもなく裏表紙の値段だけを見て「高い本だな」と吐き捨てるような台詞を残すだけだった。そもそも自腹で本を買って勉強するなんてトンデモナイと考えるタイプのようだし、自らの仕事を良い方向へ改善していこうという意欲に欠けるようだ。

話を聞きつつ、いやはや凄い会社も有るものだと感心したのだけど、実は業界ではその手の会社なんて珍しくないらしい。そんな会社と比べたら、自分が働く環境なんてバラ色のパラダイスに思えてしまう。ブラックな会社が存続する限り、業界の評判は一向に向上しないし、技術者の評価も上がることは無いだろう。日本のソフトウェア産業はどこか歪んでいるような気がしている。

徒弟制度的にソフトウェアエンジニアを育てていく必要が日本企業こそ必要なのですが、その視点が全く欠けていて、頭数を揃えればソフトウェアが開発できるという発想で、単価が安いということでオフショア開発を推進したり、ソフトウェア開発は給与が安い若い人が行うものだという思っている人達が組織のトップにいたりします。

違和感:柴田 芳樹 (Yoshiki Shibata):So-netブログ