やっぱりベテランは使えない

ソフトウェア開発の現場にいるベテランには、他の人の手本となるような達人もいるけれど、その一方で見習ってはいけない悪い見本の人も少なからずいる。その一例。

  • 開発資料を作らない
    ソースコードを読めば分かる」「資料を書くのは労力の無駄」と豪語して資料を何も作らない。後からフォローする人は、そもそも何をやっているコードなのか?などコードの設計思想や背景を読み取れないので苦労する。
  • 自分の立場を分かっていない
    開発チームを良い方向へ導くとか、若手の指導を行うという積極的な態度に欠ける。チームへの協力的な姿勢が無く、組織のあり方とか、ビジネスの方向性といった視点を持っていない。
  • 知識を共有しない
    「自分の持っている知識は大したことない」と謙遜するそぶりを見せながらも、自分からは決して情報発信を行わない。他人の情報には文句を付けるのに、自分からは何も出そうとしない。
  • 新しい技術に挑戦しない
    歳をとって億劫になったのか、チャレンジ精神を失ったのか、新しい技術を試そうとしない。その代わりに「動作実績がある」「リスクが少ない」「手堅く確実な」方法を何度も繰り返し使うようになる。
  • 勉強していない
    最近の技術を何も知らず、そもそも自分が持っているスキルが時代遅れのガラパゴス状態になっている状況に気がついていない。そして、自分が知っていることを相手が知らないと、喜々として馬鹿にする。

若い開発者が対処出来ない難題でも、対処出来て当たり前なのがベテランだ。平均以上のパフォーマンス、技術、視点、態度を求められるのは当然だし、他の開発者の手本となることが期待されているはずだ。個人として仕事をするのなら何をどうやっても構わないけれど、組織として仕事をする以上、皆が従うべきルールというものが存在するはずだし、そのルールに従ってチームをより良い姿に持っていくのがベテランの役割だろう。

IT業界には俗に「35歳定年説」という都市伝説(?)が有るけれど、優れたスキルもチームをまとめる力も無く、進化の止まった開発者なら「使えない人」として現場から早々に退場させられるのは当然の結果ではないだろうか。能力に個人差が有るのは仕方ないけれど、前向きな態度を持ってチームに貢献する程度のことは難しくないはずだ。「また、あの人か」と後ろ指を指されるようでは、自分の立場を維持することは難しい。「さすが、あの人だ」と賞賛されるベテランを目指したいものだ。

そのDNAを変えるには、外の世界を知る必要があります。そのための手段の一つが、書籍を通した学習と学んだことの実践です。実際にやってみて良いと思われることはどんどん取り入れていくということです。しかし、日本企業では、学習することを止めてしまった多数の中堅エンジニアで占められてしまうことがあります。

開発組織のDNA(2):柴田 芳樹 (Yoshiki Shibata):So-netブログ



関連