ToDoを片付けるだけの簡単なお仕事

新年度の事務作業は慌ただしい。前年度分のxxのデータをとりまとめるとか、新年度分のxxの書類を作成するとか、煩雑な事務作業が次々とやってくる。この情報が出揃うからこそ組織が成り立つとは言え、本当に必要なものなのか一度ゼロベースで考えてみた方が良いのではないだろうか?惰性で作り続けているものが多いのではないか?状況が変わったので必要性が薄れたものが多いのではないのか?と疑問に思うものの、そんな正論はもちろん無視されるので大人しく従うことにする。

とは言え、あまりにバカ正直に事務作業をこなすのではインテリジェンスの欠片もないので、賢く手を抜く方法をアレコレと考えるようになる。下記はその一例。

  • 書類はテンプレート化しておき、変更点だけを記入すれば済むように予め準備しておく。
  • 集計作業が容易に行えるような形で、データを集める。(例:手動コピペでの集計ではなく、マクロ一発での集計を選ぶ)
  • 作業手順を作成しておき、何も考えずに機械的に進められるようにする。
  • 次回の作業向けに、手順は随時更新し、問題箇所も残らず明記しておく

基本的にこの類の事務作業は全てRedmineのチケットに放り込んでいるので、新年度分の作業として必要なアクションは、前年度分のチケットをコピーする程度で良い。作業手順は全てwikiに記載されているし、成果物のファイルはリポジトリに入っているし、以前の作業にどのような問題が有ったのか過去チケットに記載されているし、メールで展開した内容はフォーラムに記載されているし、全く新規に考えねばならない作業はほとんど無い。頭を使わずに事務的に淡々と作業を進めれば成果物が出来上がり、しかもその結果は来年の同作業のベースとなるのだ。これは有り難い。いざとなれば、他の誰でも同じように作業出来そうだ。

今までの経験したことが無い新規の事務作業というものは実はあまり無くて、ほとんどの作業は過去の焼き直しで済ませることが出来るのではないかと思っているし、その方法論を突き詰めれば属人性に頼る仕事は殆ど無くすことが出来ると思う。個人の作業レベルでこれだけの工夫が出来るのなら、組織的に工夫を実行したら、きっと膨大な差異が生まれるはずだ。そんな事を考えつつ、「無印良品は、仕組みが9割」を読んだ。書籍の中では、新しい店の開店準備にて、ベテラン店長達のアドバイスが異なるせいで混乱に陥る売り場の例が紹介されている。

その時、他店の店長が応援に駆けつけました。
そして売り場を一目見るなり、「これじゃあダメだよ、無印らしさが出てない」と、いきなり商品の並び替えを始めたのです。
新しい店の店長は戸惑っていましたが、ベテラン店長に物申すわけにもいかず、結局スタッフ総出で並び替えました。
ようやく並び替えが終わったころ、今度は別の店長がやってきました。そして、「ここはこうしたほうがいい」と、直しはじめました。
そのような調子で、応援に来た店長がそれぞれ売り場を変えてしまうので、夜の一二時を回っても、まだ作業は終わりませんーー。

こんな場面を目の前にして「売り場のあるべき論」を主張するのは、仕事の何たるかを理解していない証拠だろう。むしろ、一つ上のマクロな視点で、本質的な問題の存在に気づくべきなのだ。実際、著者の方は、この光景を目撃したことをきっかけに、社内の業務標準の作成に取り掛かっている。見るべき人が見れば問題の所在は明らかなのだろう。目の前に置かれた作業の山に取り組むことが仕事ではなく、その作業のやり方を考えることこそが仕事の本質ではないかと思っている。

その光景を見ながら、私は「まずいな。このままでは無印良品の未来はないんじゃないか」と感じていました。
悪い予感は的中しました。



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