必要なのは微妙な調整力

仕事の現場では、教科書では教えてくれない様々な状況が発生する。

  • 送られてきた仕様書には書かれていない内容が多い。不明箇所を確認してみたら「開発者なのだから、その位は自分で考えて上手く作れるだろう」とのこと。それが普通かと思っていると、一方で「仕様書に書かれていることは絶対。変更は一切認めない」という人もいる。
  • 報告書という形でレポートを出したら、それを受け取った人から「必要な情報が書かれていないと差し戻し。しかし、同等レベルの情報を書いている隣の人は、何も言われないどころか良い内容だと褒められている。
  • リーダとして担当者に作業指示をあれこれ出すと、口うるさいと言われる。それを反省して、作業を任せてあまり介入しないように遠慮していると、今度は丸投げと非難されてしまう。

マニュアル本の類を読むと、こんな時にはこうすべき、という指南が事細かに記載されていて、それに従えば上手く行きそうな感じがするのだけど、世の中なかなか思い通りには進まない。自分としては常に同じレベルのアウトプットを出していても、場合によっては「不足」と見なされるし、別の場合は「過剰」と見なされてしまうこともある。こんな状況が繰り返されると、一体何が正しいのか分からなくなってしまう。

何か一つのやり方が必ず正しいというものではなくて、状況、組織や相手によって必要な情報は異なるし、求められる質や量も異なる。だからこそ、周囲を見回して自分の置かれている立場を認識し、その立場として必要な役回りを果たすことが重要だろうと思う。相手からのフィードバックも得て、自分のやり方を少しずつでも見直していく謙虚な姿勢も必要だ。相手に迎合する必要はないけれど、自分という筋を1本真っ直ぐに通しつつ、相手に応じて微妙に調整する力というものが必要なのかも知れない。



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