進捗会議はなかなか進まない

進捗会議と称する打合せに参加すると、その開発チームの状況がよく分かる。「分かる」と言ってもその報告内容ではない。チームの実情をよく示しているのは、むしろ、その打合せの進め方だったりする。

例えば、状況が宜しくなく、課題山積みのチームで良く見かける光景はこんなものだ。

  • リーダがチーム全体の状況を把握しておらず、打合せの場で初めて状況を理解している。
  • やたらと会議の時間が長い割に、発言する人は限られている。
  • 当事者間でしか分からない個々の問題に関する議論が延々と続いてしまう。
  • 問題の事後対応の報告ばかりが続き、事前対策等の前向きな話が全く出てこない。
  • 先週の打合せで出たアクションアイテムをフォローしないし、そもそも誰も覚えていない。
  • 今後の工程、予定、展望についてリーダの発言が無く、チームが進む方向性が見えない。
  • 議事録の記載内容がお粗末なので、参加者以外には内容が全く理解出来ない。
  • 会議が終わった瞬間に、全員が話の内容を忘れてしまっている。

実りない会議を延々と繰り返す思考停止状態もどうかと思うけど、そのような問題に気が付かない鈍感さも、これまた困ったものだと思う。上手く会議を進めには何が必要なのか、自らの会議の場を振り返って考えてみる必要があると思う。

ちなみに進捗会議で心掛けているのは、下記のような点だ。(要するに上記の逆だ)

  • 会議開始の少し前までに、各自が抱えているTracのチケットを更新するように依頼しておく。(各自の予定更新や、作業漏れを気づかせる意味もある)
  • 上記の更新チケットに記載されたコメントを参考に、各自の作業の進捗状況を確認する。(更新されているチケットを毎日見ているので、この時点での情報更新は実は少ない)
  • 前回までの進捗会議の議事録を参照して、アクションアイテムの進捗状況を確認する。(必要ならこちらもフォローする)
  • 必要なら直接話を聞いて詳しい状況を確認したり、チケットへその内容の追記も依頼する。(メールでの問い合わせは、回答に時間がかかってしまうのでダメ)
  • 各チケットのリンクをメインに、議事録の記載をTracwikiに予め用意しておく。(この時点で全体の状況は把握出来ている)
  • 会議では、順調に進んでいるタスクは軽く流し、問題があるチケットを重点的に取り上げる。(他の誰かがアドバイスをくれるかも知れない)
  • 解決方法の検討など、話が長引きそうな場合には会議の後で別の場を設ける。(タイムキーパーはもちろんリーダの役目)
  • リーダが全体の議事進行をテキパキと進め、全員の作業時間を無駄遣いしないように配慮する。(各自の単価x時間x参加人数を常に頭に入れておこう)
  • 会議で発生したアクションアイテムは、すかさずその場でTracのチケットに起票しておく。(これなら決して忘れない)
  • 今後の予定や方針はかならずリーダが自分自身の言葉で説明する。(それが仕事だ)
  • 会議終了と同時に、議事録へのリンクをメールで流してお終い。

週に一度しか行わない進捗管理なんて、リスク管理の面で恐ろしくてたまらないので、チケットの更新やSubversionへのコミット状況を毎日Tracのタイムライン上で確認している。これなら作業の進捗状況がリアルタイムに近い形で分かるし、進捗会議なんて所詮はそんな日々の進捗情報のまとめに過ぎないと思う。

週にたった一度の進捗会議用の報告書すら各メンバが記入してくれない、とボヤくリーダの姿を見たことがあるけど、そんな「会議用にわざわざ情報を記入するような面倒くさい仕組み」なら担当者から無視されるのは当然のことだと思う。(私だって嫌だ)

進捗管理の方法を見直したり、事前準備に一手間かけるようにすれば、進捗会議は効率的に短時間で済ませられるし、その費用対効果は高いものがある。進捗会議を終えて満足度が高いのはリーダだけ、他のメンバは長い会議から解放されて一安心といった状況だけは避けたいものだ。