そのソフトウェア開発は儲かりますか?

仕事でソフトウェア開発に携わる人に良く尋ねる質問の一つに、このようなものがある。

そのソフトウェア開発は儲かりますか?

趣味でやっているとか、開発コストを度外視して良い特殊な用途は別にして、ビジネスとしてソフトウェアを開発するのなら、開発結果として必ず何らかの利益を得ることが求められる。例えば、組み込みソフトならソフトを組み込んだ製品の売上げが×○%アップするとか、消費者向けのウェブサービスなら利用者が○×%増えるという類のことだ。

もちろん開発段階ならその成果はまだ出ていないので、ある程度の見込みとか予想になってしまうのは仕方ないけれど、少し時間をおいて検証すれば、結果としてどの位の利益が出たのか、事前予測とどの程度の差違が生じたのか、ということは分かるはずだ。

しかしながら、開発現場でそんな疑問を抱く人はあまり多くないようで、こんな返事が返ることが多い。

  • 自分が担当しているのはシステムの一部分に過ぎないから、全体のことは良く分からない。
  • 自分の担当は開発であって、利益云々は関係しない話だ。
  • 他のシステム(ハードウェア)とも絡むので、開発案件単体の貢献度は低い。
  • 自分の利益より、まずはお客さんのためになることを考えたらどうか?
  • そんなことは考えたこともない。

利益が生まれるのか否か分からないような開発を進めても、結果として上手く行くとは思えないのだが、違うのだろうか。

確かに目の前の開発に集中するのは結構なことだと思うけど、もう少し視野を広げて、その開発がどのような付加価値を生み出し、ユーザ側にどのような利便性を提供し、自分たちにはどのような収益をもたらすのか、ビジネス全体の観点で意識を持つことが必要ではないかと思う。

日本人は謙遜の気持ちがあるのか、「儲ける」という言葉に何かネガティブなイメージを抱きがちだけど、海外の技術者は儲けることを最優先に開発を進めているのだ。日本の会社は技術はあるのにビジネス展開が下手と言われることが多いが、その根底には開発者自身の意識の差が有るのではないかと思っている。

ある日本メーカーの技術者によれば、「開発部にいる技術者は、開発にしか興味がない」という。また、別の日本メーカーの技術者によれば、多くの技術者が「コスト削減は工場の仕事と考えている」。さらに、また別の日本メーカーの技術者は、「研究部、開発部、量産部の間に、士農工商がある。研究部が一番偉く、次が開発部。量産部は下層階級と見なされている」という

日本半導体メーカーとインテルの決定的な違い これほどの収益力の開きがなぜ生じるのか(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

一方、インテルでは、「ある開発プロジェクトに対する社内評価は、どれだけの最終製品を、いくらで出荷したか、それによって、どれだけ利益を出したかで判断される」という。つまり、開発者のボーナスも、最終製品の利益で決まるのである。
 逆に言えば、どれだけ高性能のプロセッサーを作り、売れたとしても、利益が出なければボーナスはもらえない。これが、開発段階で徹底した低コスト化を目指すインセンティブになっていると考えられる。

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