量を求める開発に終止符を

ソフトウェア開発現場の七不思議の7回目。

> 7. バグをたくさん出すほど残業代が増え、会社への貢献度が高いと評価される。

日本の会社の場合、とにかく長時間働くことに意義があるので、体力に自信のある人向きの環境と言える。頭を酷使しなくても、雑談を交えつつのんびりと仕事をして、バグをたくさん出して残業すれば、残業代は稼げるし会社への貢献度も大きいと良い評価をしてもらえる。ずっとこのまま働きたいという人には、非常に居心地が良い所だろう。

しかし、時代は少しずつ変化している。例えば、低コストの人海戦術でソフトウェア開発を進めるオフショアや、ツールを使用したソースコードの自動生成技術が発展してくると、そのような量に頼るプログラマの存在は途端に危ういものとなる。こんな話を会社でしたら、まだまだ先の話でしょう?と言っている人がいたけれど、それは現実を知らないだけだ。ブリッジエンジニアは流暢な日本語を話しつつ、日本のモノ作りのノウハウを着実に吸収しているし、適用範囲を限定すればほぼ全自動で生成されたコードを製品に組み込んでいる例もある。ソフトウェア開発は確実に変化しているのだ。

たくさん働けば良いものが出来上がるというのは、古き良き時代の幻想としか思えない。長時間労働という量に頼った開発体制から、より短時間で高品質なモノを作れるようになる為の手段を考える方向へ、頭を切り換える必要があると思う。逆説的だが、残業が可能だから誰も今のやり方を変えようとしないし、変革に向かって努力しないのではないかと推測している。残業禁止、指定時間内だけの開発をせよ、と命令されたら、もっと知恵を出そうと努力するのではないだろうか?

設計者というのは変な話ですが「体を使う」と,ものすごく仕事をした気になるんです。分かりますでしょうか,この言い方で。例えば,発売日に間に合わせるためにみんなで徹夜して頑張ったとか,会社の言うことに逆らってプロジェクトを進めたとかいうエピソードは,多くの会社にあると思います。そして,最終的にはプロジェクトが成功に終わる。これが体を使うという感覚です。

旧来の手法では最先端の製品は開発できない〜リコー社長近藤史朗氏