誰も知らないソフトウェア工学

ソフトウェア開発現場の七不思議の6回目。

> 6. ソフトウェア工学(情報処理)の基本知識の無い人が開発している。

韓国や台湾では、理工系の修士号を持つ開発者が当たり前だが、日本では理工系どころか学校で全く別のことを学んできた人が会社ではソフトウェア開発に携わっている。これでけ人材のレベルが違うと、アウトプットとして出てくる成果物の品質に大きな違いが出てくるのも当然のことだろう。Excelでソフトの機能リストを作るだけなら自称エンジニアでも出来るが、システム全体のアーキテクチャを設計したり、様々な開発技法の中から適切な方法を選び出して開発に応用するには、ソフトウェア工学の知識が必要不可欠のはずだ。

今週の日経ビジネス(2008年8月18日号)では「さらば工学部」という特集記事で、高度なコンパイラ技術を会社で教えるインドに対して、日本の会社では新入社員の2割程度しかソフトを組めないという話が紹介されていた。インド人にソフトウェア開発を習う話は以前に書いたが、インドの開発者の個々のスキルは非常に高い。学校でソフトウェア工学を学んで高度なスキルを持つ開発者の数なら、インドの方が勝っているかも知れない。

会社や製品のブランド力のおかげで日本製品の優位性はかろうじて保たれているけれど、開発者のスキルだけで比較したらかなり厳しいと思う。開発者は経験と勘に頼った家内工業からの脱却を目指して、ソフトウェア工学の広範な知識を開発現場に生かす必要がありそうだ。

現在のソフトウェア業界では、「作ってから直す」開発方式が隅々まで浸透し、それに伴って、コストやスケジュールが超過している。これは、ソフトウェア・エンジニアリング的な計算上、そうなったのではなく、ソフトウェア・エンジニアリング的な教育や訓練をほとんど実施していない結果である。

ソフトウエア開発プロフェッショナル〜スティーブ・マコネル

ソフトウエア開発プロフェッショナル

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