UMLの実践技法を学ぶ本「UML徹底活用第2版」

UMLについて書かれた本は多数有るものの、文法中心で読んでいて眠くなってくるようなものも珍しくない。たぶん、普通のソフトウェアの書籍とは異なり、自分で実際にコードを動かして試すことが出来ないのがその理由の1つではないかと思っていたりする。(違うかな?)

そんな中、書籍「UML徹底活用第2版」は、UMLの使い方を理解した開発者がより実践的に使いこなすための参考書と言える。UMLを書く際に、誰もが一度は疑問に思うような落とし穴に対する的確なアドバイスが豊富に載っており、なかなか参考になる。おそらく、著者の豊富な経験の中で蓄積されたノウハウが詰め込まれているのだろう。

例えば、ステートマシン図のアクティビティを何処に書くべきか?という単純なものでも、「entryに書くべきかexitに書くべきか、それとも状態遷移に書くべきか」と迷った経験を持つ人は少なくないだろうし、実際の図面を見ると、描いた開発者によって書き方がまちまちだったりする。そんな疑問に対する明快な答えが理由と共に説明されており、なるほどこれなら迷うことは無いと自信が持てそうな気がする。

個人的に気に入ったのは15章の「ダイアグラム間の整合性」だ。UMLの一つの図面は対象のある一面を切り出した情報に過ぎないので、例えば、クラス図のような静的構成を、シーケン図のような動的構成と組み合わせて分析して、モデル化しなければならない。そのような組み合わせ例として、書籍の中では「クラス図とオブジェクト図」「クラス図と相互作用図」「クラス図とステートマシン図」と言った例が紹介されている。他の書籍ではあまり取り上げられていない内容(視点)なので、これからUMLを使う時には大いに参考にしたいと思う。

このときに気をつけなければならないのは、個々のダイアグラムは対象のある一面だけを捉えていても、元々モデル化しようとしているものは同じものなので、ダイアグラムは違っても、組み合わせて使われているダイアグラムの間には共通する情報が含まれているということです。この、ダイアグラム間に共通する情報がズレていると、どのダイアグラムの情報が正しいものなのか分からなくなり、モデルの信頼性低下につながります。そうした、ダイアグラム間に共通する情報に矛盾が出ないようにすることを「ダイアグラム間の整合性を保つ」と言います。

初めて知るUML記法も載っていて(ややマニアック過ぎるかも?)興味深く読むことが出来た。UMLを全く初めて習う人には勧められないけど、中級以上の開発者にはオススメの書籍だと思う。

ダイアグラム別UML徹底活用 第2版 (DB Magazine SELECTION)

ダイアグラム別UML徹底活用 第2版 (DB Magazine SELECTION)

今回の改定第2版では、最新のUML2.0/2.1に完全対応し、使用されている図を全面的に書き換え、新しい図の追加(コンポジット構造図、タイミング図、相互作用概要図、パッケージ図)、既存の図の変更(アクティビティ図、シーケンス図、その他)、 MDA(モデルからのコード自動生成)に対応するためのUMLの言語仕様の整理など、様々な改善を追加しました。

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