エンジニアの必読本「エンジニアとしての生き方」

Life is beautifulでお馴染みの中島聡さんの本。ブログの方はいつも目を通しているけど、ブログや雑誌記事がまとめられたこの本を読んで、エンジニアとしての生き方を貫き、若い人達を叱咤激励する中島さんの熱き想いを改めて知ることが出来たように思う。

日本のエンジニアは、その労働の割には社会的地位が高くないし待遇も恵まれていないので、話をしても愚痴ばかりで悲しいものがあるけれど、例えば米国へ行って現地の開発者と親しくなると「同じような仕事をしているのに年収のケタが違う!」ことを知って驚くことがある。そんな夢のような(?)世界がこの世の中に存在することを知ると、自分たちとのギャップにさらに自己嫌悪に陥ることもあるようだ。

もちろん、お金が全てではないし会社を取り巻く環境も大きく異なるので、単純に米国の方が良いと言うつもりは無いけれど、少なくとも「自分の好きなことをやって人生の満足感を得る」という尺度では日本のエンジニアはかなり低い方に位置してしまうのだろう。

そんな状況を、著者はかなり歯痒く思っているはずだ。この本の中ではそのような状況を嘆き、旧来の抵抗勢力とどのように戦ってきたのか著者の経験を踏まえたアドバイスが載っている。現状に満足しない前向きなエンジニアは、是非とも一つの手本として読んで欲しいと思う。やや破天荒な生き方が紹介されているので万人受けするとは思えないけど、こんな生き方も有るのだと気づく人はきっと少なくないはずだ。

短い人生、上司から言われた仕事をその必要性も理解せずに苦しみながらやり続けるような生き方はあまりにももったいないし、そもそも会社はそんな人を望んでいない。理想形は、「あいつは好き勝手なことばかりやっているけど、会社にとってはなくてはならないヤツだ」と言われる存在になること

Life is beautiful: 「自分がやりたいこと」と「会社にとって必要なこと」のベクトルを合わせることができた時に大きな力が出る

なお、個人的には下記の一節が気にっている。自分自身も新しい技術には何でも飛びついて、その際の習得の苦労を楽しむ方なので、(こんな書き方をしてしまうと失礼かも知れないけれど)中島さんの気持ちはよく分かるし、全く同感という感じがする。仕事だからツマラナイことも多いけど、自分自身の人生を充実させるために少しでも前向きな生き方をしたいと思っている。

はたから見れば、「あの人は夜も週末も働いているし、すごく努力している」ように見えるかも知れないが、私自身にとってみれば「新しい開発環境や言語を勉強する」ことは旅行やゲームをすることや映画を見たり本を読んだりすることなんかよりも何倍も楽しいわけで、それを「努力」とか「苦労」とか呼ぶことが適切とは思えない。

Life is beautiful: 「金メダリストは『練習が楽しくてしかたがない』からこそ強くなれた」説

エンジニアとしての生き方  IT技術者たちよ、世界へ出よう! (インプレス選書)

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