同じことを何度も聞くのは失礼だ

学生時代の恩師に「同じことを何度も聞くのは失礼だ」と学んで以来、メモ帳は手放せないようになった。自分が聞いた質問に対する回答はもちろんのこと、何気ない会話の中で知り得た知識は確実に記録して、忘れないように(或いは忘れても良いように)しておく必要が有る。これなら同じことを何度も聞くという不作法は防げるはずだ。

若いうちは自分の中へ入ってくる情報量が限られているし、記憶力も優れているので、特にメモなんか取らなくても覚えてしまうことが多い。しかしながら、(同じような経験を持つ人は多いと思うけど)人生のある時点を越えると、自分が取り扱うべき情報量は爆発的に増えてしまい、おまけに記憶力も衰えがちになるので、記憶だけに頼る事は不可能になってしまう。だからこそ「話を聞いたらすかさずメモを取って忘れないようにしておく」という習慣が生きてくるわけだけど、悲しいかなそんな習慣を持たないまま歳を重ねてしまった人が時々いる。

例えば、新しい製品・サービスが出てくる度に技術の基礎を尋ねてくる人、手順が決まっている作業方法を何度も聞いてくる人等がいて、その度にこちらは同じ回答を繰り返している。手間は大したことないので答えること自体は別に構わないのだけど、会社に入ったばかりの新入社員ならともかく、既に何年もの社会経験を積んでいるはずなのに、自分用にメモを取る事すら出来ないのかと若干哀れみを感じてしまう。一人前の大人に対して「キミ、メモを取り給え」なんて親切にアドバイスしてくれる人なんていない。自分の振る舞いは自分自身で直していかなければならないのだ。

なお、同様に「一度指摘された失敗は繰り返さないこと」というルールも有る。例えば、仕様書の記載に対する指摘やソースコードの不具合指摘を受けた際、自分なりのチェックリストへフィードバック出来るのはスキルが有る証拠だろう。ミスの修正はするけれど、そこで終わってしまうのなら、次に同じミスを繰り返すことが明らかであり、結果として成長があまり期待出来ない証左ではないかと思っている。



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