IBM Innovate 2010に参加してきた
昨日はIBM Innovate 2010に参加してきた。主催がIBMだし(表向きは)有料なので、会場のスーツ率、参加者の平均年齢は高めで、カジュアルなGoogleのイベント等とは大違いの雰囲気だった。プログラムを見れば分かるようにセッション自体は他のソフトウェア開発関連のセミナーと同等で(もちろんIBMの宣伝は入るけど)、参加者も多くかなり盛り上がっていたように思う。
以下、講演より幾つか抜粋。
Are You Happy?/横塚裕志氏(東京海上日動システムズ)
働きがいに関するランキングで上位に位置する東京海上日動システムズの紹介。縦割り組織や現場のやらされ感など大企業病に陥りがちな現状に懸念を示し、現場がワクワクする場を設けることこそがマネジメントの仕事として、様々な施策を打つ事例が示された。その一例が社内のインフォーマルなコミュニティ活動で、メンバの自発的、オープンな参加を促して社内の活性化を図っているとのこと。とかく冷めた現場になりがちな組織の中を、このような形で盛り上げる雰囲気が有るということは少々羨ましく感じる。
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「知を活かす知」の時代/妹尾堅一郎氏(東京大学)
「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」の著書としても有名な妹尾堅一郎氏による講演。iPodやiPhoneの成功を見れば分かるように、今の時代は技術だけでは売れる製品にはならない。技術は確かに変わらず重要だけど、それをサービスと組み合わせてどのように展開していくべきか?という指摘は、半導体や液晶テレビの生産で諸外国に抜かれてばかりいる日本には重い課題だろう。昔のVHS対ベータ*1というビデオ規格競争の事例も取り上げられ、市場ではVHSの勝ち(ベータの方が先に生産中止になった)だが、実はベータの技術(知財)がライセンス供与されていたのでソニーには「おそろしい金額」が入っていたという興味深いエピソードも紹介されていた。こんな状況を見ると、何を根拠に「勝った、負けた」と判断すべきか難しくなるかもしれない。
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由
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テスト工程における自動化推進/岡英典氏(三菱東京UFJ銀行)
総工数115,000人月というDay2プロジェクトにおいて、どのようなテスト作業が行われたのか紹介された。テストにおける課題分析を元に、最も手間がかかる作業工程を削減するため、バグ修正に伴う影響範囲の確認(デグレが発生していないこと)用としてRational Functional Testerを導入したとのこと。初回はスクリプト生成のために手動での操作が必要になるものの、2回目以降の検証ではテストの自動化が図られるため、最大75%もの削減を達成できたらしい。サポートチームによる支援体制、仮想環境を活用した検証方法など、開発規模が大きいゆえに必要となる施策も紹介され興味深かった。
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