肩の力を抜く読書「放っておいても明日は来る」

昔から感じていることだけど、日本という国は生きていく上で少々窮屈さを覚えるところだと思う。受験や就職という競争はもちろん厳しく、それはそれで仕方ないことかも知れないけれど、一旦、出遅れたり正規のルートを外れてしまうと、何故か一人前の人間扱いされない理不尽な面がある。そんな状況だから、仮に就職が遅れたところで人生80年なのだし先の方がずっと長いよ、この時代に会社がずっと存続するとは限らないよ、なんて言ってみるものの、悲壮感漂う若い人の表情はあまり変わらないようだ。

仕方ないので、そんな時には日本を飛び出して破天荒な生き方をする人の姿が載っている高野さんの本を紹介してみる。ダイエットのためにボクシングを始めたのにいつの間にかタイでプロのムエタイ選手になってしまった人、語呂がよいからという理由でラオスビエンチャンでカフェをオープンした人、マレーシアのジャングルで象に襲われつつ薬用植物の会社を立ち上げてしまった人など型破りな奇人変人(失礼!)のオンパレードなのだ。

こんな大きなスケールの話を聞いてしまうと、どの会社に就職すべきかなんていう悩みなんてちっぽけなものに思えて来るのではないだろうか。これが大学の「東南アジア文化論」という正規の授業なのだから羨ましい限りだが、不安が頭から離れない学生は面白がるどころか「癒される」とのこと。若い人はそこまで追い詰められているものなのか。そんな人には「『希望』は最強のセーフティネットである」(本の帯より)という文句と共にこの本を送りたい。大丈夫、頑張らなくても生きていけるよ。

放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法

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