CUDAの参考書

CUDAについては既に何度か取り上げているが、日本語書籍が出てきたので読んでみた。CUDAの原理や仕組みから始まり、GPU内部で行われる処理なども親切に解説されている。サンプルコードはもちろん、ライブラリやプロファイラについての概要説明もあるので、なかなか良い感じの構成だと思った。最初の導入用として充分な内容だろう。

こんな本がもっと早くに出ていれば、もう少し容易に(落とし穴にはまらずに)CUDAを試すことが出来ただろうと思う。新しい環境を試す時にまず必要なのは基本概念を説明したコンパクトな情報だけど、この本はまさにその目的に合致したものだ。より詳しい情報が必要になったら、SDKに含まれる詳細な開発資料を参照すればよいと思う。

本の「はじめに」には著者のこんな説明が載っていた。専門家が「難し」いと評価するのだから、たぶん本当に難しいのだろう(量も多いし)。そんな資料に挫折した人でもこの本を読めば理解できるはずだ。

CUDAをインストールすると自動的に入ってくる「SDK」の中にある例題プログラムは、NVIDIAの方には申し訳ありませんが、少し難しすぎます。CUDAのプログラミングを行う人が最初に読む「CUDA Programming Guide」の中にある行列積の例題も、やはり難しすぎると感じます。

はじめてのCUDAプログラミング―驚異の開発環境[GPU+CUDA]を使いこなす! (I・O BOOKS)

はじめてのCUDAプログラミング―驚異の開発環境[GPU+CUDA]を使いこなす! (I・O BOOKS)

なお、CUDAだけではなく、ATI Stream SDKとかOpen CLを含めたGPGPU全般については、ASCII .technologies 2009年12月号に特集記事が載っているので、こちらも併せて参考になると思う。