ノウハウは縦横の軸で管理する

Tracには「wiki」しかなかったのに、Redmineでは他に「フォーラム」なる仕組みも用意されていてややこしい。目的に応じて使い分けよ、とは確かに一つのアドバイスだとは思うけど、初めて使う人にそんなことを言っても通じないだろう。そんな訳である程度の指針や具体例が必要になるわけだが、今のところ、次のように使い分けている。

  • フォーラム
    一度掲載したら変更しない文書用。具体的には、メールの共有保管場所だ。一度送ったメールはもう2度と変わらない(変えようが無い)し、スレッドごとにまとめて掲載できるので、後からの参照も容易だ。これで、チーム内に「情報共有」と称した無駄なメールの展開を減らせるようになる。
  • Wiki
    何度も情報を更新する文書用に使っている。具体的には、チーム内の作業手順や障害の発生例と対策事例、ツールの手順や仕様書の類だ。これは一度書いたら終わりというものでも無いし、その履歴が実は重要な情報を持っていたりするので、その辺りまで確実に管理できる仕組みとしてwikiが相応しい。

言ってみれば、時間軸をキーとして管理を行うフォーラムと、キーワードをキーに管理を行うwikiを組み合わせて、少しでも簡単に情報へたどり着ける工夫をしているわけだ。また、フォーラムの文書は「message#1234」という形で必ずIDが付くし、wikiの文書にも「[ [xxx] ]」というページ名が付くので、互いのリンクは容易に張れる。だから、相互の情報は実は密接に結びつく形になっている。

現在プロジェクトに関わっている当事者の立場から見ると、フォーラムに掲載されたメールのやり取りを辿っていくのは(自分の頭のなかの記憶にも残っていることだから)比較的容易だ。しかしながら、初めてプロジェクトに加わった人に、その膨大なメールの履歴を順番に追っていけと言うのは酷な話だ。

だから、おおよその経緯をまとめた情報や、メールのインデックス代わりに整理したwikiの記載が重要な手がかりとなる。これなら話の骨格が見えやすく、必要なメールを辿っていけるので理解も短時間で済むわけだ。現在プロジェクトに関わるメンバの頭の中を整理するという意味で、そして将来加わるであろう新規メンバに対する道標として、フォーラムとwikiを組み合わせた情報整理は不可欠な仕組みになっている。ややもすればメールの中に埋もれてしまいがちなノウハウも、wikiに目次ページを用意しておくだけで各メールへのリンクを辿っていけるので、管理の手間が省けるというメリットもある。

なお、こんなやり方を進めていくと、面白いことにチームのメンバが出すメールには「message#1234」「[ [xxx] ]」と言った書き方が増えてくる。この記載だけを見ても意味不明だけど、Redmineのフォーラムに転載されることを見越して、予めリンク用のタグを記載しているわけだ。平文でしかやり取りされないメールだけど、書き方を工夫するだけで上手く二重利用できるのは興味深いノウハウだと思う。