特許という武器

メーカーで開発の仕事をしている技術者は特許の出願・取得を強く勧めらることが多いのではないかと思う。ソフトウェアも例外ではなくて、新しく考え出したアルゴリズムや実現される新システムについて明細書を書き上げ、弁理士先生を相手に「考案した内容に如何に新規性が有るか」を説明し、重箱の隅をつつくような工夫を針小棒大に熱く語る技術者も珍しくないはずだ。(私もその一人)

特許というと青色ダイオードのように「世紀の大発明」を連想されがちだけど、実際に多いのは「現場レベルのちょっとした工夫」レベルだったりする。そんなイヤらしい内容でも特許には違いないから、同じやり方を真似るわけにも行かず、仕方なく特許回避の為に泣く泣く別の仕組みを考え出す必要があるわけだ。(もちろん、私もその一人)

そんな特許も、なぜかIT業界では軽視されることが珍しくない。社外から来ている技術者と話をしていて、長年に渡って豊富な開発経験を持つのに、特許登録どころか出願すらしたことが無いと聞いて驚いた経験があるが、会社や業界が異なるとそんな状況が普通らしい。仮に会社や仕事が変わっても「発明者」として永遠に名前が残る特許は技術者の実績として価値あるものなので、是非とも取得に励んで欲しいものだと思う。

Googleモトローラを買収したのも、特許の持ち駒が無い(クロスライセンスに持ち込めない)Googleにとっては手っ取り早い解決策とも言えるが、特許を武器に他社と戦う経験が無い組織の文化というものは、なかなか変わらないのではないかとも思う。Googleの文化を象徴する言葉として"Don't be evil."があって善良そうな印象を受けるものの、企業と企業が争う特許の世界に限って言えばそのような甘い文句は通用しない。今まで自社の特許を生み出してきたモトローラの技術者が、新しい会社の下でどのような活躍をしていくのか注目したいと思っている。

報道によるとGoogleモトローラを買収した狙いは、激化した特許訴訟への対策のためだと言われている。
以下の表は、Google(と、Google+Motorola)の特許の引用を集計したものであり、平たく言えば「Googleと技術がかぶる企業ランキング」である。

Googleの特許力が激変! Motorola Mobility買収で | 特許分析のパテント・リザルト

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