必要なのは改善を継続する力

あるソフトウェア開発関係のイベントに参加した同僚に感想を聞いてみた。

特に目新しい情報は無かった。発表されている事例は当たり前のこと。やっていることは自社と変わらない。

それはその通りかも知れない。品質改善に関して全く新しいアイデアはなかなか出てくるものではないし、銀の弾丸なんて存在しないものなのだ。皆、日々の業務の合間に知恵を絞って少しずつ改善を続けているのであり、一発大逆転のホームランという改善策なんてあり得ない。実際に取り組んでいる手法だって、基本的にそれほど大きく変わるものではないと思う。

強いて違いを言うのなら、改善活動が上手く行く組織というものは、小さな活動を継続的に徹底して行うという実行力が優れているように思う。「忙しい」「いつかはやりたい」「面倒だ」と言い訳を並べるチームは、ずっとその理由を言い続けるものだし、仮に着手しても直ぐに放り投げてしまうことが多い。「当たり前のことを地道にやり続ける」というチームの方が、最終的には大きな成果を生み出しているように思う。

だから、他社の事例を参考にする時には、何を実践しているのか?という点だけではなく、自分たちとの実行力の差は何なのか?とか、継続して改善を続けられる工夫は何なのか?と言った視点で捉えるようにすると、自分たちに欠けているものの本質がよく分かるような気がする。どんな優れた方法でも、実行力を伴わないチームには所詮、無用の長物に過ぎないのだ。

ちなみに、この類の話を聞くと、小さな工夫を取り上げて「あれは興味深い」「これは凄い」「それをもっと調べてみよう」と熱く語る人が一方で、上記のように「つまらなかった」「大したこと無かった」「時間の無駄だった」と冷めた見解を述べる人に二分されるので面白い。一発大逆転を求めがちな人に限って、後者のような意見を述べることが多いように感じるのだけど、これは気のせいだろうか?