読書の費用対効果
仕事柄、ソフトウェア開発関連の書籍にはよく目を通すように心がけている。先人の優れた知恵を学ぶことは大きな勉強になるし、自分がより良いアウトプットを出すためには、それを生み出す原動力として読書が必要不可欠だからだ。
例えば、既に何度か取り上げているけれど、Code Completeはピカイチのお勧め本だ。質・量共にこの本を上回る内容の書籍はもう出てこないのではないかと思ってしまうくらい充実した内容には目を見張るものがある。だから、機会があることに周囲の開発者にはこの本を読むことを勧めている。今まで何人もの人に勧めて来たけれど、「今ひとつだった」というネガティブな返事をもらったことは一度も無い。多くの人が絶賛すると言うことは、きっとかなり優れた書籍なのだろう。
もちろん「忙しいから」「今は時間が無い」とか理由をつけて読まない人もいるけれど、これはこれで仕方ないことだと思っている。向上心のない人には何を言ってもムダだからだ。馬を水飲み場まで連れて行くことは出来ても、水を飲むか否かは馬次第であって、無理矢理飲ませるわけにはいかないのだ。私の人生の持ち時間も限られているし、どうせその貴重な時間をかけるのなら、やる気のない人よりやる気のある人を相手にしたい。
だから、読書の勧めに対して、やる気のない反応が返ってきても驚かないのだが、今日の相手にはさすがに少々驚かされた。曰く、
「Code Completeを読んでもどの位の費用対効果が有るのか分からない。だから読まない」
とのこと。そんなことを言い出したら、本なんて1冊も読めないような気がするのだが、本人はえらく真面目な顔をしていた。たぶん、彼は彼なりに真剣に考えて答えているのだろう。
自分なりのポリシーを持つことは結構だが、あまりに頑なすぎると損をするような気がする。以前に「直接的なリターンを求め過ぎるのでは?」というエントリでも触れたけれど、ダイレクトな見返りがないからと行って前に進もうとしないのは少々勿体ない生き方だと思う。