技術士試験体験記〜受験対策(経験論文)編

技術士第二次試験(情報工学)の経験論文に書くネタについては、事前に目処を付けておいた。昔から開発プロジェクトが終了する毎に反省点を資料にまとめており、これを生かさない手はないと思ったのだ。こんな資料は会社の正式な開発プロセスには無く、自分で勝手にまとめてグループの振り返りに使ったり、社内のイントラネットに載せていたものだが*1、数年前のプロジェクトの詳細なんて忘れていることが多いので、論文用の資料しては申し分ない。

資料の主な内容は下記の通り。

  • プロジェクトの概要(構成、規模、工数、期間、予算、実績、開発者のスキル等)
  • 成果物(資料、ソフト)
  • 利用技術(開発環境、開発手法、言語、ライブラリ、フレームワークデザインパターン、比較検討した案、方針決定の根拠等)
  • 指標(ソースコードのメトリックス、複雑度、テスト自動化率)
  • 不具合状況(障害件数、問題の分類、信頼度成長曲線、障害発生の原因、どうしていれば問題は発生せずに済んだのかという考察等)
  • 開発プロセス(プロジェクト運営、レビュー実施状況、ミーティングの内容等)
  • まとめ(解決出来た・出来なかった課題、習得した技術・ツール、工夫した点、反省点、次の開発プロジェクトへの展望等)

業務の合間を見つけては書き連ねていた資料なので、1プロジェクトにつき数十ページの分量があり、これを経験論文指定のA4版2ページに濃縮するのだから密度は非常に濃い。この辺はまさに「蓄積がモノを言う」世界であり、0から積み上げて論文を書いていた人とはかなりの差がついたものと思う。開発プロジェクトの全貌が把握できるという意味で、自分にとっては非常に貴重な資料であり、経験論文の材料として大変役に立った。

講師の方の添削を受けつつ、構成を見直したり文章を直して論文を作成し、最後の確認として嫁さんに論文を読んでもらって文章を仕上げた。参考書でもお勧めの方法として紹介されていたけど、技術的に全くの素人に読んでもらって「どんな課題をどのように解決したのか?」という論理の流れを理解してもらえることは必須条件だ。素人には分かるまいという高慢なスタンスで書いた論文では、試験官に弾かれること間違いなしだろう。8月の筆記試験前には経験論文の準備が無事に完了した。

出題テーマに沿って課題を見つけ,その課題に対して何を考え,どのよう行動して,結果はどうだったのか,という観点で書いた。それが合格への必要条件だった。情報処理技術者試験がそうなのだから,ましてコンサルティングの資質を問う技術士試験ともなれば,経験だけを書き並べても合格には程遠い。

ITpro 第19回技術士第二次試験(情報工学部門)「技術士」とは技術力の試験ではない!?

注:試験制度は上記の記事掲載時から変わっています。現在の試験制度については下記の情報を参照して下さい。

*1:こんな資料を作る人はあまり見かけないけど、技術士たるもの、何をすべきなのか自分で考えることが必要だよね。