働く現場のモラル崩壊

AERAに載っていた記事。派遣社員の解雇が引き金となって起こった自動車工場での混乱が載っている。

そんな空気が蔓延した工場で、解雇通知が起こしたのは、モラルの崩壊だった。

曰く、寸法を測らずに製造ラインに部品を流す、機械のダイヤルを回して寸法を狂わせる、引き継ぎの社員に嘘の手順を教える等々。案の定、派遣社員が全員外れた後は、同等の生産台数を達成するのに毎日1時間45分の残業が必要になり、しかも本社はその事実を知らなかったとか。

もちろんこれが原因の全てではないだろうし、他にも色々と要因はあるのだろうけど、ここまで露骨に復讐される会社の存在意義は何なのだろうと考えてしまった。余剰な生産能力を削減するのに手っ取り早い方法とは言え、こんな反発を買うやり方をしていると中長期的にはかえって損をするような気がする。

以前に、品質工学の先生が「毎年5月は新入社員が工場の現場に配属される。作業には慣れていないから不良率も上がる。だから、5月に生産されたものを買ってはいけない」と冗談交じりに話していた。今回の事例から得られる教訓は「派遣社員が切られた工場で作られたものを買ってはいけない」になってしまうのだろうか。

本誌は、いすゞの派遣切りが公表されてから、解雇される派遣社員らを訪ね、栃木と藤沢の工場で働く51人に密着した=本誌18~19ページのチャート。多くは30代以上でリストラや解雇、経営難による退職の経験があった。地方出身者も多かった。いわば派遣は現代版「出稼ぎ労働」とも言えた。

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