JaSST'09 Tokyoに参加

出張先に向かう途中、目黒へ立ち寄りソフトウェアテストシンポジウム2009 東京(JaSST)に参加した。不況にも関わらず大勢の参加者がいるので少々驚く。以下、簡単に所感など。

  1. 10年後のソフトウェアテスト技術〜日本発のブレークスルーを生み出そう!
    日立製作所の生駒氏による講演。現在のソフトウェア開発の問題や課題などが分かりやすく整理されており、これからどのような方針を目指すべきかという提言が行われていた。Die-hardバグ(厄介なバグ)へどのような対処が必要か、統計的な尺度でとらえるには無理のある状態(凸凹と呼んでいた)を考慮して直行表などの手法を使っているのかなどの指摘があった。まだ具体的な形が見えているわけではないけれど、モデル駆動テスト(MDT)と今までのテストのノウハウ(暗黙知)を組み合わせたテスト手法が生まれて良いのではないかという提案もあり、興味深く感じた。長年の経験を元に、ソフトウェアテストのビジョンを語れる姿勢は素晴らしいと思う。
  2. クロージングパネル〜テスト技法からテストメソドロジへの進化を目指して
    多数のパネリストが出てきて、それぞれ勝手なことを主張していた(失礼)。様々な手法が提案されているけれど、現場で実際に導入しにくい、作業が具体的ではないので分かりにくいという指摘はもっともだと思う。この辺は、電気通信大学の西先生が進めているVSTeP法など現場に合った現実的な手法に期待したい。マインドマップによる分析も悪くはないのだけど、それなりのスキルがある人が使えば効果的なものの、自らの業務を改善しようという意志に欠ける人には使いこなせないと思う。こんなイベントに出てくる人はそれなりに意識の高い人が多いから新しい手法でも難なく取り込めるけれど、実際の現場にはそうではない人も少なくない(ため息)。議論としては、予定調和的な結論に収まってしまい少々期待外れ。やっぱり西先生には議論をふっかけて盛り上げる方に回って欲しかった。

Webサイトに載っている資料を見れば内容は分かるかも知れないけれど、やっぱり現場の雰囲気を感じるには会場に来るのが一番。テスト担当者だけでなく、ソフト開発に関わる多くの人にお勧めです。2日間に渡って行われていたイベントのうち1日だけしか参加できず残念。他の講演内容については、新幹線の中で予稿集を読んで勉強するのであった。