Google Developer Day 2008参加

昨日はGoogle Developer Day 2008に参加してきた。内容についてはいろいろ報道されているし、講演の内容はYouTubeにも載るらしいので、簡単に感想だけをまとめておく。

1. コミュニティ指向

セッションや講演の中で、盛んに「オープン」とか「コミュニティ」という言葉が出てくるのが印象的だった。MicrosoftJavaの開発者会議だと、「自分たちはこんな技術を作った、お前ら俺について来い」といったニュアンスの発言が多かったが、Googleの場合、とにかくコミュニティという味方を付けておこうという様子が伺える。もちろん、検索エンジンなどGoogleの収益の源泉になっている技術については、そんなオープン性は皆無なわけで、その辺は上手いこと立場を切り替えている。方向性の見えない技術や収益性のハッキリしないビジネスについては、外部の知恵を借りて様子を見ようという意図かも知れない。

2. Android

一瞬、iPhoneかと思わせるようなGUIデザインとアニメーション動作だったが、3G対応の端末でのデモが行われた。Google MapsのStreet Viewが表示されていたものの、携帯電話の通信網を使って大容量の画像データを送るのはあまり現実的ではないような気がする。むしろ、写真を選ぶと自動的に顔認識を行い、顔の部分だけをアイコン化してコンタクトリストへ登録するような気の利いた処理の方が面白かった。内部コンポーネントについての説明も行われていたが、講演者の言う「Integrate, Extend, Replace」な構成は少々無理があるのではないか?案の定、WindowsのDLL地獄のような状況にならないか?という趣旨の質問が出ていたが、明快に納得できるような回答ではなかった。Appleで全ての構成を決定しているiPhoneとの違いが大きくて興味深いところだ。

3. Gears

オフラインとオンラインの差違を意識させず、ユーザがシームレスに使えるようにするための技術という位置付けで様々な例が紹介された。Googleブックマークをインクリメンタルサーチ出来るのは、オフライン側のデータを上手く使っているし確かに便利そうだ。また、開発中の技術として紹介されたNotification API(メールが届いたらポップアップ画面で表示。Growlのようなものか)やFile System API(複数ファイルのアップロード)なども面白そうだ。でも、この程度の機能なら皆欲しいと思っていたものだからあまり新鮮味が感じられない気もする。Googleなのだから、皆があっと驚く機能を期待したい。(実はまだオープンにしていないだけかも知れない)


Googleの開発者の話を聞きながら、10年以上前にMacintosh(当時)の開発者会議がパシフィコ横浜で行われたことを思い出した。また、Javaが上り坂で元気だった頃(という言い方は語弊があるかも?)のJava Oneもやはりパシフィコ横浜で行われていたと記憶している。そんなイベントの歴史を振り返ってみると、今のソフトウェア技術の最先端を行くのは紛れもなくGoogleであることがよく分かる。2008年現在のバンテージポイントからの眺めを堪能した一日だった。

おまけ

GearsやGoogle Earth APIなどウェブブラウザのプラグインを利用するサービスが増えてきているが、いっそのこと「プラグインに仮想OSを入れてしまう」仕組みはどうだろう?これなら、Googleはやりたい放題に何でも出来るのではないだろうか?