DevLOVE関西〜Decision〜に参加した

少々前のことになるけど、11月16日に「DevLOVE関西〜Decision〜」に参加してきたので、その感想をまとめてみた。

理想の就労環境とは何か 〜ある開発会社がブラックの真逆を徹底した先に見たモノ〜(大石裕一さん)

  • 自分がエンジニアなら良いだろうと思える理想的な会社を作った。
  • 開発の生産性が最優先。環境づくりに徹して、毎日が開発合宿のような状態。
  • 但し、自分の生活は犠牲になっている。壮大な社会実験として割り切っている。

フィードテイラーの大石裕一さんによる講演。残業禁止、副業推奨など変わった社内ルールで有名だけど、その背景には自分自身の苦い経験が有ったらしい。優秀なエンジニアを集めて上手く働いてもらうと、これほどのアウトプットが出ると意味では確かに「社会実験」なのかも知れない。私自身はエンジニアがもっとお客に側に出るべきだという立場なので、このようにエンジニアを囲い込んでしまうやり方は好きではないものの、一日パソコンに向かっていれば満足してしまう没頭系エンジニア(実はワタシ)には理想的な環境なのかもしれない。トップ一人の肩に、会社の全てがかかっている組織のあり方には少々不安を感じるけれど。

プログラマから経営者へ変わる決断と、プログラマを一生の仕事にする決断(倉貫義人さん、伊藤 淳一さん)

  • 見積もりなし、納品なし。エンジニアが顧客と直結し、全て一人で対応する。
  • IT業界の商慣習を変え、世の中に起業を増やしていきたい。たくさんのモノをたくさん作る時代はもう終わり。
  • 起業したエンジニアにはのれん分けして行く。レストランのオーナシェフのような形を目指して欲しい。

こちらもIT業界らしからぬユニークなスタイルを持つSonicGardenの倉貫義人さんによる講演。業界の慣習に逆らう経営方針はなかなか真似できないと思うけど、大量生産を良しとする20世紀型のスタイルに対して、毅然たる反旗を翻すような独自の経営姿勢は実に21世紀型の会社だと思う。当り障りのない開発を続ける大企業も社会には必要だと思うものの、このような形の小さな会社が多数集まって協力し合えば、これまた面白い成果が出てくるような気がする。これからの時代に伸びていくのは、自分の技術を持ちつつも経営も出来るような、まさしく「レストランのオーナシェフ」型の人材なのかも知れない。

SIerの中で技術を大切にする生き方とその秘訣(熊谷宏樹さん)

  • プログラマはずっと考え続けるので、仕事の時間と個人の時間を分けられない。
  • 自分の弱みを認識出来る人や、小さな努力を続けられる人は強い。
  • 技術は何でも貪欲に吸収しましょう。出来るか出来ないか分からないからこそ挑戦する価値がある。

若い人が多い会場において「50歳です」と言い切る大手SIer勤務の熊谷宏樹さんによる講演。経験豊富でユニークな語り口はさすがにベテランという域に達しており、こんな形で会社の中で働き続けられたらきっと幸せだよねと思える内容だった。会社という組織の中で働き続けると、上の方にいる人はどうしても当り障りのない(≒面白くない)話しか出来ないものだけど、本音が垣間見えるトークには納得できる点が多かった。大きな会社の中で生き残っていくのは並大抵のことではないと思うと同時に、これだけの幅広い知識と経験を持つからこそ、会社にとって無くてはならない人なのだと思う。時代の変化の波に乗りつつも、しなやかに自分のスタイルを変えていく生き様が実に魅力的な方だった。