失敗プロジェクトから学べること

失敗プロジェクトに放り込まれて困っています、仕事は面白くないし退屈だし、ゴールも見えないしどのような方向に進んでいくのか分かりません、自分の時間が勿体ない気がします、どうしたら良いのでしょうか?と切実な悩みを抱えた人からの相談を受けた。残念ながら失敗プロジェクトを成功プロジェクトに変える魔法の杖は持っていないので、一つの考え方として次善の策を出してみた。

  • ツールの使い方を学ぶ
    プロジェクト自体から学ぶのが理想だが、核心部分から学べないのなら、その周辺から何かを学び取らねば勿体無い。例えば開発ツールの使いこなし方や、報告書作成用のマクロ、問題箇所を除いた他の部分からの技術習得は、格好のターゲットの一つだろう。次に生かせないような一時的な技術よりも、次のプロジェクトでも引き続き利用できる技術を学び取るべきなのだ。
  • 問題探索の方法を学ぶ
    失敗プロジェクトということは問題点も多数残存しているはずだ。たくさんの問題に対してどのようなアプローチを取っているのか、また、解決に導くための方法も色々使っているはずなので、その類の守備範囲を広げるには絶好の機会かも知れない。さらに、混乱のどさくさに紛れて、いつもなら出来ないような冒険的な策をとってみるのも良いチャンスだろう。
  • 反面教師として学ぶ
    職場には尊敬したい上司や手本にしたい同僚がいる一方で、決して真似してはいけないような人達も少なからずいる。不思議なことに、失敗プロジェクトに限ってそのような人が多い。嫌っておけば済む話とはいえ、それだけでは惜しい。自分がそのような人間にならないようにするために何が必要なのか、あるいは何が足りないのか考えるきっかけになるはずだ。
  • 屁理屈の使い方を学ぶ
    どういう訳か知らないけど、失敗プロジェクトに絡む人たちは自己弁護がやたらと上手だったりするので、口論になると言い負かされてしまうことが多い。せっかくの機会なのでその屁理屈をメモしておき、逆に反論するための材料として使うとなかなか便利だったりする。もちろん、他の人に乱用すると「嫌味な奴」と嫌われてしまうのがオチなので気をつける必要があるけど。
  • 英語を学ぶ
    オフショアから来ているインド人を相手に英語でコミュニケーションを取れば、自分の英語力は確実に上がるはずだ。授業料を払うこと無く英語力を磨けるという恵まれた環境なのだから、そのような場を生かさぬ手はない。プロジェクトはタイタニックの如く沈んでゆく運命かもしれないが、自分の英語力だけは確実に上昇するだろう。

上記のアドバイスが参考になったのか不明だが、それなりに納得した顔で帰って行った彼の後ろ姿を見送りつつ、失敗プロジェクトを繰り返すのは組織文化に原因あり、という先人の言葉を思い出した。失敗プロジェクトから何か少しでも学べる点が有るうちは良いけれど、いよいよ学ぶべき点が無くなってしまったなら、それは組織から離れるべき時が来たと認識すべきだと思う。