どの開発者に投資するのが効果的なのか?

先週のJaSST'11 Tokyoの最後のパネルディスカッションにて、正社員と派遣社員のどちらを教育すべきか?という意味の議論があった。有益な情報を社内に持ち帰ってきて横展開してくれれば誰でも良いと言う意見が出て、これはこれで正論なので特に反対意見は無く、では誰がその投資対象になるのか、具体的に言えばJaSSTのようなセミナーに行くのが望ましいのか?という話になるのだが、その時にこんな意見が出た。

自己研鑽に励んでいる人を会社としても応援すべきだ。

これはなかなか微妙な議論だと思う。JaSSTのようなセミナーに来ている人は目的意識の高い人たちばかりだから、このような主張に頷くことが多いようだ。確かに、何の問題意識も無い人より、色々考えてセミナー会場から多くの情報を持ち帰ってきてくれる人をセミナーに送り込んだ方が、会社としての費用対効果は高いだろう。

しかしながら、組織というものは複数の人間で成り立っている。その中には「こんな仕事なんか好きではないけれど、給料を稼ぐために仕方なく働いている」なんていう白けた人が決して珍しくない。それどころか、開発組織やチームによってはそんな斜に構える人の方が多かったりする。そんなチームの中で、ごく少数の人が孤軍奮闘しても空回りしがちだし、そのしらけ具合は一層酷くなったりする。

チーム全体としての底上げを図るのなら、むしろ、そのような開発者をどのように啓蒙するか?という点の方が重要だったりする。以前にコンサル会社に務めていた知人は、そんな「開発者を褒め殺して」ヤル気にさせていたのだと自慢していた。いい年した大人が、そんな他人からの褒め言葉が無いと動かないとは情けないと個人的には感じるものの、そんなヨイショ型コンサルタントの導入で組織が回ってくれるのなら、会社としては安上がりな投資なのかも知れない。

「行くな」と止めたところで、休みを取って自腹で勝手にセミナーに行くような人は、放っておいても自分自身の目標に向かってグイグイと突き進んでいくから問題は無い。たまに会社から支援してあげる程度で大丈夫だろう。問題は、それ以外の人達に対する処遇ではないかと思っている。



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