TCP/IPの高速化を知る読書「ASCII.technologies」
ASCII.technologies(2010年10月号)の特集は、「激変するTCP/IP」だ。IPv4やIPv6の基本説明は日経NETWORK等の雑誌にもよく載っている記事だけど、その記事に続く「高速TCP」や「次世代トランスポートプロトコル」はASCII.technologiesらしい技術満載の内容だった。
ネットワーク回線が高速化されたおかげで、データのやり取りが高速に行われていると思いがちだが、実際にはTCPプロトコルが仕様として持つ本質的な制約のために、実効速度が出ないケースが珍しくない。
具体的には、日本とアメリカ東海岸を帯域幅1Git/sの専用線で接続しても、実効通信速度は2.5Mbit/s程度にしかならない。また、日本国内の東京⇔大阪間でも25Mbit/s程度で頭打ちとなる。
http://tech.ascii.jp/elem/000/000/549/549289/
そんな課題を解決するために幾つもの方法が提案され、従来技術と互換性を持つものは既に一部が実装されてきている。
TCP/IPはかなり歴史があるし、毎日当たり前に使っているものだから既に枯れた技術のように思えるけれど、実際には課題が山積みであり、その解決に向かって改善が続いている様子は興味深い。現在進行形で続いているTCP/IPの技術を知るには良い雑誌だと思う。
ASCII.technologies (アスキードットテクノロジーズ) 2010年 10月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/08/24
- メディア: 雑誌
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ちなみに下記の記事では、TCPではなくUDPをFTP代わりのデータ転送に使ってしまうという凄い技が紹介されている。スループットの出ないTCPを技術的に改善するのではなく、本来確実な転送が見込めないはずのUDPを使ってしまうという、その斬新な発想に驚いてしまう。TCPやUDPの世界は、実はまだまだ奥が深いのかも知れない。
そのような問題を解決したのが、Aspera社のFASPという製品だったそうです。FASPは、トランスポート層にTCPの代わりにUDPを使い、その上のアプリケーション層でパケットロスを管理する仕組みにしているそうです。TCPとは異なり、パケットロスがある状況下でもウィンドウサイズを大きく保ち、ロストパケットだけをうまく再送するような仕組みになっているそうです。このケースでは、FTPの15〜30倍のスループットをたたき出したとのこと。
AVATAR製作時、その超巨大データはどのように大陸間転送されたか? - Wataru's blog