自分がブロックしている状態

エスカレータから降りた直後で立ち止まっている人をよく見かける。次に進む方向を探している様子だが、そんなところに立たれてしまったら後から来る人が困ってしまう。エスカレータからは次々と後続の人が降りてくるから、そこに立ち止まって待つという選択肢は無いし、大抵の場合、直ぐ隣に別のエスカレータの乗り口が並んでいるから、歩いて行ける方向はかなり限定される。出口のないところに人が密集する可能性があり、安全上、問題がある場所なのだ。混んでいるデパートなどでは「エスカレータの降り口で立ち止まらないで下さい」という放送を耳にするが、逆に言えばそれだけ立ち止まる人が多いという証拠なのだろう。

そんな風に立ち止まってしまう人には、周囲の状況とか、その場における自分の位置が見えていないようだ。少し気を利かせれば自分が他の人の邪魔になっているという状態を認識できるはずなのに、その程度の事すら気がついていないらしい。エスカレータに初めて乗った人ならともかく、普通の大人が他人の邪魔になっている光景はかなり見苦しいものだ。

日常の仕事でも同じようなことが良く起こる。自分に割り当てられているタスク、自分が行うべき作業、自分のところに回ってきている処理を先延ばしにしているせいで、その結果を待つ人の足を引っ張っているケースが珍しくない。今の世の中「急を要する仕事」ばかりなので、何かの作業が後回しになってしまうのは仕方ないとは言え、その判断が次工程の人に不愉快さをもたらすのであれば、それは作業の優先順位付けに失敗している証拠だろうと思う。意図的に作業を遅らせているとは思えないが(仮にそうなら、それはまた別の問題だろう)、「前の人の作業が遅れて困る人はいるけど、逆に早まって困る人はいない」という当たり前の事実を認識して、少しでも前倒しで仕事を進めたいものだ。

チームならリーダがメンバをチェックして指摘することは容易だが、役職の高い人がブロック状態になってしまうと周囲は皆困ってしまうし、それを指摘できる人はどうしても限られてしまう。厄介なことに、そんな状況に気がつかない鈍感な人に限って、遅延の指摘を受けても何かと屁理屈を並べて作業に着手しないものなのだ。自分がブロックという存在になっていないか、自らの立ち位置を認識できるだけの注意力が必要だと思う。



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