ソフトウェアはドンドン作れるものなのか?

景気づけなのか、やる気のあるところを見せるつもりなのか、なぜかソフトウェア開発の現場では「ドンドン作ろう」といった類の勇ましい言葉を聞くことが少なくない。

  • 仕様をドンドン決めていきましょう
  • ソフトをドンドン作りましょう
  • テストをドンドン進めましょう

実際のところ、仕様一つ決めるにも考慮すべき項目はたくさん有るし、派生開発なら既存のソースコードを調べる必要もあるし、新しい環境ならその調査から始めなければならない。ドンドン作る状況からは程遠いのだ。逆に言うと「ドンドン作ろう」なんていう軽率な発言をするリーダーがいるのは、そんなややこしい状況を全然把握していない証拠だから要注意だ。

いろいろなソフトを作ってきた経験から言うと、スムーズに作業が進められるのは、例えば「仕様が全て明確に決まっており、開発環境やフレームワークの仕様も熟知し、設計やアーキテクチャも全て頭に入っている」というごく限られた状況の時に過ぎない。熟練者ならソフトウェアは「ドンドン」作れるものではないと分かっているので、こんな言葉を軽々しく口にしないし、出来ないはずだ。リーダが発言する言葉でその実力が分かってしまうのは、それはそれで少々怖いことだけど、覚えておいて損しないキーワードだと思う。