残業代を減らすには?

会社で残業を減らすにはどのような工夫が出来るかというアンケートが来た。この経済状況の中でよくある質問だとは思うけど、当然のことながら改善効果の程は不明。作業の効率化を図るとか、無駄な作業を減らすことによる経費節減も悪くはないけれど、もっと大きな本質的な問題を解決するのが先だと思うね。

個人的には、こんな質問を出す人は自らの能力の無さを露呈するようで少々恥ずかしいとも感じる。景気が悪くなって残業代を減らすという話題が出たのは今回が初めてではないし、過去に効果の有った(無かった)施策は幾らでもあるのだ。どうしてそのような実績を活用しないのだろう。費用対効果を考えるのなら、最も効果の大きい対策は何か検討する為の材料も必要だし、他社がどのような対処をしているのか情報収集だって有効なはずだ。こんな風に考えると、常日頃から問題意識を持って考えている人以外、このような問いかけを出されて即答することは難しいだろうと思う。

大前研一の本ではこんな質問は役に立たないとバッサリ切り捨てられている。質問した人は、やっぱりこの人の著書なんて読んでいないのだろう。

事実、ZD(ゼロ・ディフェクト)運動などで、全員参加の不良低減や原価低減などを行っている会社では、こうした質問によって全社員からアイデアを募集し、それを一定のスクリーンにかけて、改善活動をしているところが多い。だが、私はこうした提案箱的やりかたには本質的な限界があると思う。それは、設問そのものが解決志向的ではないからである。
(中略)
すなわち、この場合には分析を正しくやる限りにおいては、解決志向的の設問をすれば、途中経過は異なっても同一解に到達する可能性が非常に大なのである。こうして、質か量かという本質にかかわるところに正面から切り込み、断を下すことができるのである。

企業参謀―戦略的思考とはなにか

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