ひとりサマータイム

10月も終わりに近づき、サマータイムを実施している国に住んでいる人からサマータイム終了のお知らせが届くようになった。時差がある国の人と電話をする際には常に「現地の時刻は?」と意識しておく必要があるけれど、春と秋のサマータイム移行後はしばらく慣れないので、(毎年のことだけど)予期せぬ時間に電話をかけたり、或いは受け取ったりするハメになる。

サマータイムの説明には「2時が再度1時(1時59分59秒の次が1時00分00秒)になる」と書かれているものの、果たしてそれがどのような感覚なのかずっと不思議で仕方なかった(でしょ?)。だから、米国に滞在していた頃、サマータイムに移行する瞬間のテレビを見ていたことがある。結果的に、テレビに映っていた時刻表記は確かにその説明通りに切り替わり、あたかもタイムスリップしたような感覚を覚えたのだけど、もちろん、テレビも自分の周囲も何も変わることがなく、少々拍子抜けしたような感じだった。

このような「時間が飛ぶ」感覚はサマータイムの無い日本では決して経験できないので、これはこれで新鮮なものとは言え、ソフトウェアの開発者の立場で言えば同時に「これは厄介なものだな」と感じたのも事実だ。なぜなら、日本にいる限り「時刻はずっと一意の値を持ち続け、決して途切れることが無い値」として重宝に使えるものに、サマータイム移行の時には「同じ時刻が再度存在する」とか「時刻が存在しない時間帯がある」のだ。タイムスタンプをキーに使っているデータ構造は抜本的な見直しを迫られる事態になりそうだ。

そんな事を(今年も)考えつつ、朝の仕事を始めた。いつも朝早い時刻に出社しているので、周囲には誰もおらず、しかも五月蝿い電話もかかってこないので、作業効率は非常に良い。溜まりがちな仕事をテキパキと片付けるには最適な時間帯なのだ。日本にサマータイムが導入される見込みは当分無さそうだが、個人的には夏でも冬でも季節を問わず早朝出勤をしているので、常にサマータイムの時間帯で働いているようなものだ。仕事の主導権を握るための第一歩は、まず働く時間の管理を自分で主体的に決めることだと思っている。

アメリカ合衆国(中略)開始日には2時が3時になり(1時59分59秒の次が3時00分00秒)、終了日は2時が再度1時(1時59分59秒の次が1時00分00秒)になるため、開始日は1日が23時間、終了日は逆に25時間になる

夏時間 - Wikipedia