Agile Tour Osaka 2010に参加してきた

昨日はAgile Tour Osaka 2010に参加してアジャイルを勉強してきた。一言でアジャイルと言っても、言葉を使う人によって、スタンスや方法論が微妙に異なっていたりするが、その幅広い考え方を柔軟に受け止めるのがアジャイルの特徴かも知れない。会場にはそのような多様なバックグラウンドを持ちながらアジャイルを目指す人が多く、非常に活気のあるイベントだった。

以下、講演メモの抜粋に感想を付記してみた。

チケット駆動開発Agileになる理由 〜No Ticket, No Commit!〜あきぴーさん

  • チケット駆動開発の基本的な考え方や、その導入効果について紹介。障害も仕様変更も全てチケットで統一して管理することで、成果物を管理しトレーサビリティを確保できる。
  • Redmineプラグインの連携により、コミット時にチケットをクローズすることや、チケットの親子関係を整理することが可能になる。
  • チケット駆動開発を進めることで、アンチパターンが幾つか見えてきた。定期的なチケットの棚卸しなど状況に応じて適切な対処が必要となる。

チケット駆動開発の基本がよく分かる講演で、既にTracredmineを使っている開発者にとってはイメージしやすい内容だったと思う。私はwikiの機能が気に入っているのでTrac派なのだけど、プロジェクト管理という観点で見るとredmineプラグイン含む)の方が機能が豊富で便利かも知れない。なお、話の中ではプロダクトライン開発への類似性にも言及が有ったのだけど、単なる構成管理をプロダクトラインと呼ぶのは少々無理があるのではないかと思う。個人的には長期的な視点で開発や設計の考え方を決めるのがプロダクトラインであって、構成管理の情報は単なるその成果物に過ぎないと理解している。

西日本にだけこっそり教えるアジャイルコンサルタントの秘密〜アジャイルプロジェクトで失敗防止のコツ〜牛尾剛さん

  • アジャイルは独りでは勉強しにくい。会場に来ているような勉強熱心な人が、アジャイルに興味がない人へ説明するという状況に基づいて話したい。
  • アジャイルを失敗しないための7つのポイント:全体像の共有、ストーリー供給力、タイムボックス、生産性向上、変更の吸収、早期の失敗と改善、見える化
  • 相手を信頼して理解した上で、相手の言葉で語ることが必要。さもないと周囲の人がついてこれない可能性がある。

アジャイル開発で欠かすことの出来ないポイントが簡潔に示される良い話だった。アジャイルと言うと何故か計画が無いとか資料を作成しなくても良いと誤解されることが少なくないのだけど、ざっくりとした長期計画を立てた上で割り込み・変更無しのタイムボックスを確保するとか、生産性と成果を上げるための無駄が排除されているか等、開発現場でも受け入れられやすい形でのハウツーが紹介され、大いに参考になった。

ユーザーストーリーマッピングアジャイルな計画づくりを加速する〜懸田剛さん

  • ユーザストーリーとは利用者側から見た実現要求。大事なところ(価値が高いところ)から順番に作業するための優先順位付けが必要。
  • Excelのテーブルでバックログを集計しても、何が実現できるのか分かりにくい。だからこそユーザーストーリーマッピングで全体像を見せることが必要。
  • 地図そのものより地図作りの過程の方を重視するのが特徴。

課題の優先順位付けというものは良く行われる作業の一つだと思うけど、それをユーザーストーリーと絡めた上で全体を見せる化するという方法がユニークだと感じた。話には出てこなかったけれど、特に新規開発において開発者間の理解の差を埋めるために活用するのが有効なのではないかと思う。会場での質疑応答でも出ていたように、ポストイットによる作成だと変更が容易な反面、変更理由や履歴が残らないのは少々不安が残る面かも知れない。



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