真似すれば及第点は取れる

あまり知られていないことかも知れないけれど、仕事として行う多くのことは大抵の場合「上手くやっている人のやり方」を真似ると上手くいく。自分の仕事を上手く進められなくて困ったとか、どうしてあの人は上手く出来るのだろうと疑問に思ったら、上手い人の行動を観察して、そのやり方を自分に取り込んでしまうと良い。同じやり方を繰り返すことで、少なくとも及第点は取れるようになる。不思議なことに、仕事を上手く進められない人に限って自分独自のやり方にこだわり続けて落とし穴にはまり込んでいる事が多い。これは少々勿体ない話だ。

世の中に溢れる仕事術の中には、個性を生かせ!創造性と独創性こそがキミのセールスポイントになるのだ!と言うニュアンスのものが有るけど、それは人並み以上に出来る人が考えるべきポイントであって、実際の現場ではそんなものは必ずしも必要とはならないことも多い。例えば、人をまとめるリーダ役をやると分かるけれど、メンバに求めるのはまず「担当分の作業を確実に仕上げる力」であり、プラスアルファとして「新しいアイデア」が出てくれば良いのだ。最初から新規性を求めるようでは、確実なアウトプットを出せなくなってしまう点に注意が必要だと思う。

だから、こんな視点で周囲の人を観察してみると、自分に足りないポイントが見えてくるはずだ。

  • 仕事を素早く片付ける人はどのような工夫をしているのか?
  • プロジェクトを成功に導くリーダは何が違うのか?
  • フォローの上手い人は仕事のミスにどのような対処をしているのか?

表に現れる行為は分かりやすいけれど、その人が頭の中で考えていることは分かりにくい。でも考えた結果としてアクションを取っている以上、行動からその人の思考を想像することは可能なはずだ。優れた方法なので自分も取り入れるべき、自分ならもっと上手く出来るはず等々の個人的なメモを取り続けていくと、それは仕事のやり方に関する立派な財産だと思う。

もちろん、特許出願や論文執筆等はオリジナリティを要求されるので人真似だけではどうしようもならない。でも、それを生み出すための手順や思考は実はルーチンワーク的なものが多くて、アイデアそのものは「パズルの最後のピース」に過ぎないように思うし、他の人の特許や論文を読んで理解することは実はその人の思考を辿ることに他ならない。仮に自分が同じ特許や論文を出すとした場合、足りないものは何なのか?と考えれば、自分に不足しているものが分かるはずだ。

少々後ろ向きの考え方に聞こえるかも知れないけれど、組織の中で仕事をするのなら、まずは人並みレベルの仕事を確実にこなすことが信頼を得る近道だと思っている。



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