日本的な働き方

先日の朝日新聞に田中和彦氏のエッセイ記事が載っていた。朝早くに職場へ来てランチを手っ取り早く済ませつつ仕事を続け、夕方になるとさっさと帰ってしまうアメリカ人の働きぶりと、ランチタイムにのんびりする日本人を比較した考察だ。もちろん、どちらが良いとか悪いという問題ではなく、それぞれのお国柄もあるし文化の違いもある。だから、記事の主人公であるIさんは、両者を比較した上で、このような結論を冷静に下している。

確かにアメリカ流の仕事は密度が濃い。だからと言って、日本人がそれを見習うべきだとも思えない。Iさんはひそかにこう考えている。「ダラダラした働き方こそ日本人に合っているのでは」

http://www.asahi.com/business/topics/hataraku/TKY201010110121.html

上手い結論だと感心しつつ記事を読み終えたのだけど、その通り、日本の会社では「忙しい」を連発しつつものんびりと昼食を取ったり、喫煙所で延々と世間話をしつつも残業して深夜まで残る人が珍しくない。もっと工夫すれば幾らでも作業効率は上げられるし、少しの知恵を働かせれば何が最優先事項が何なのか分かるはずだと思うのだけど、そんな当事者に限って改善の意志は無い。生産性の低い仕事を同じように続けるのが日本流なのだ。

だから、日本の労働生産性が低いというレポート(毎回同じ結果だよね?)が出てくるのは当然のことかと思う。

日本の労働生産性(2008年)は先進7カ国で最下位、OECD加盟30カ国中第20位。

公益財団法人日本生産性本部 - 労働生産性の国際比較2009年版 (生産性研究レポートNO.021)

質は低くても、その不足分を量でカバーするのが日本流というところだろうか。そのような形で対抗出来るうちは良いけれど、人材が国境を越えて移動し、いわゆる日本流の人事管理に不慣れな人が多数入り交じる中で、働き方やその評価もいずれ同じ方向に収束していくかも知れない。そんな時に、密度の低い働き方しかできない日本人労働者は生き残っていけるのだろうかと若干の不安を感じたりしている。



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