ノウハウは誰のものか?

ソフトウェア開発の業務で知り得たノウハウはTrac等に記載して、出来るだけグループ内で共有するようにしている。有益な情報は出来るだけ皆で利用して、ソフトウェア開発での効率や品質の改善に繋げたい、というのがその理由だ。このブログにもその一部を書いているのだけど、例えば、ソフトのインストール方法と言ったマイナーなエントリにもブックマークが付く状況を見ると、こんな情報を求める人が実は少なからずいるということが分かって面白い。

私も困った時にはネットの情報を参考にしているので、誰かのお役に立てるのは嬉しいことだし、インターネット全体への恩返しという気持ちもある。ネット上には玉石混淆の情報が溢れているし、ネガティブな面も少なくないけれど、前向きな気持ちで情報を載せてくれている人は多く、そんな人が1人でも増えてくれればネットの世界もそれほど悪くは無いように思えてくる。

もちろん、世知辛い世の中なので成果主義を盾に「自分が努力して知り得たノウハウは自分のものであり、誰にも教えません」なんて言う頑な人も珍しくないけど、こんな人を相手にするつもりは無いので(とは言い過ぎか)、自分としては情報発信側として努力しようと思っている。もう少しやる気のある人は多いものの、こんな台詞を聞くことも多い。

  • 「何を書いたらよいのか分かりません」
  • 「自分がやっていることは特殊であり、他の人の参考にはなりません」
  • 「自分のノウハウを書いても、メリットが有るとは思えません」

仰々しく考えなくても、スティーブ・マコネル氏の言うように、自分の理解していることを整理するとか、失敗談を簡潔にまとめるとか、本を読んだ感想を書くとか、やり方は色々あると思うのだけど、少々堅苦しく考える人が多いようで惜しい気がする。文章を書くこと自体が自分のトレーニングになるし、どんな些細な内容でもいつか誰かが検索で見つけてくれるものなのだが、もしかするとこの辺は自分でやってみて初めて分かることなのかも知れない。そんな訳で「有益な情報であるか否かは読み手が判断すること。とにかく書いたらどうか?」という形で書くことを勧めるようにしている。

実際にソフトウェアの開発をしている人には、自分の考えや洞察をぜひ書くように勧める。ソフトウェア開発を通じて学んだ貴重な教訓を自分だけのものにせず、みんなで共有してほしい。コーディングのちょっとしたコツ、品質管理の実際のやり方、プロジェクトの効率的な運営法、その他これまでに取り上げられたことのないソフトウェア関連のトピックスをどんどん書いてほしい。

ソフトウエア開発プロフェッショナル

ソフトウエア開発プロフェッショナル



関連