改革リーダーの執念

日経ビジネス(2010年3月29日号)にリコーの遠藤紘一氏の記事が載っていた。社内の改革に奮闘した苦労話が出ており興味深い。会社の景気が悪くなったり、組織が変わったりすると「今こそ改革を実行すべきだ」と叫ぶ人がいるが、そんな発作的なスローガンに遠藤氏は警笛を鳴らしている。

こうした主張を耳にするたびに私は思う。「冗談じゃない」と。よく考えてみてほしい。日頃から努力を重ね、コツコツと改善活動に取り組んだ経験のない人や企業に、果たして改革のような大手術を遂行することが可能だろうか。

日経BP SHOP|日経ビジネス2010年3月29日号

日頃から小さな改善を積み重ねていくからこそ、結果的に大きな改善をもたらすことが出来るのだ。今まで何もやってこなかったのに、いきなり一発逆転の改善を望むのは無謀だし、そもそもそのような状態に陥るまで改善できなかったという現状をまずは認識すべき、という主張はもっともだと思う。

また、地道な改善活動を進めるにしても、忙しいことを理由に何もしない人は当然のことながら少なくない。手を挙げたところで余計な荷物を背負い込むだけだし、評価が大きく変わるわけではないのだ。だから何もやらないという体質が染みついてしまった人たちに、改善の意識を持たせるのは大変なことだ。遠藤氏はそんな状況を踏まえつつ、全員が改善活動に取り組むことが出来なくても、その一部の人だけでも主張に耳を貸して実践する人が出てくれば良いと言う。

話を聞いて全員が行動に移してくれなくてもいい。たとえ1%でも構わない。何人かが私の意図するところをくみ取って実行する。そして残りの人はそれに協力する。そうなってくれればいい。

日経BP SHOP|日経ビジネス2010年3月29日号

記事を読みつつ、たった1%が現実なのかと思わず唸ってしまった。個人的には。少なくとも1割くらいの人が動いてくれないことには変わらないのではないかと思っていたので、1%という低い数字にはやや無力感を覚えてしまった。それでも期待に応えてくれる人がいるのなら、まだ良しとしようか。小さな改善を積み重ねるのは大事なことなのだ。会社全体が変わらなくても、まずは自分の周囲5m以内の人たちが変わってくれれば良いと思う。



関連