頑張れば成功するという幻想
ソフトウェア開発において、やたらと感情面に訴えるリーダーがいる。曰く、こんな感じ。
- 頑張れば出来るはずだ。
- 確実に対処していきたい。
- 納期を守る意識が必要だ。
- 注意すれば防げるはずだ。
- 品質確保が最優先だ。
開発グループにハッパを掛けるのは必要かも知れないけれど、そんなことをリーダが毎日絶叫するようになってきたら要注意だ。頑張って上手く行ったのは遠い過去の話であって、その成功体験だけを引きずっている状況では、舞台も状況も変わってしまっている現在の開発には対処できない。
例えば、マルススレッドのバグなんて「10回試したけれど再現しませんでした」なんて本質的な確認にはなっていないし、1万回のテストを繰り返しても全く不充分。全ての状況において絶対大丈夫、と断言するためにはモデル検査による検証が不可欠だし、そんな検証の手間とか障害発生のリスクを考慮していないなら、そもそもマルチスレッドなんて使うべきではないのだ。
「懲りない開発者」に問題が多いのは確かだけど、それを指導できないリーダーの問題はもっと大きい。自らの技術的知識の欠如を棚に上げて、意味不明な精神論にすり替えるから根本的な問題は解決しないのだと思う。頑張ることは必要。しかし、間違った方向に頑張っても意味がない。