ソフト会社は自社でソフトを作れるか?

日経コンピュータ2009年4月15日号にNTTデータ山下徹社長のインタビュー記事が載っていた。2009年度は100億円近い投資を行い開発スピードを上げていく、会社を24時間眠らせないで日本、インド、南米という3極で連続的に開発を進めるという方針が説明されていた。その説明は大して面白くないけれど、聞き手が直球の質問をしているので楽しい。

聞き手:「先ほどから気になっていたのだが、そもそもNTTデータの社員は開発をしているのか」
社長:「僕は非常に危機感を持っていて、現状は何しろ内製化率が低い。正直にお話しすると全部合わせても3割とか3割5分くらい。残りは協力会社の方々に手伝ってもらっている」

日経BP SHOP|日経コンピュータ2009年4月15日号

ホントに社員が1/3もの開発を担っているのか怪しいように思うけど、実際のところはどうなのだろう?開発コストの削減という意味では外部の協力会社やオフショアに出すのは悪くないが、そんな開発ばかりやっていると社内に技術力が無くなってしまい、自分では何も作れなくなってしまう。「自分でソフトは作れないけど、仕様書は書けるのでソフトウェア開発者」なる珍妙な人が身近にいたりするけど、私からみるとそれは単なる仕切り屋であって技術者ではないと思う。いざとなれば、協力会社以上の品質と納期で作れる技術を持つ人こそが真の技術者というものだろう。

しかし、社長の「若い時にプログラムを書こう」の意図するところが「必ず人生の豊かさにつながる」という程度の理由なら、若い人にそっぽを向かれるのは当然のことのように思える。いかにも古き良き時代のコンピュータ産業出身という考え方に聞こえてしまうのは私だけではあるまい。今の時代、こんな理由でソフトを作る技術者はいないし、仮にいたとしてもろくな奴ではないと思うね。