会社への忠誠心

日経ビジネスのインタビュー記事に上野千鶴子氏が出ていた。いつもの如く「男のための男の組織」である日本企業を歯切れ良く批判しているので、読んでいて痛快な気分になる。人種のるつぼである米国のIBM研究所の例を出し、外国人枠とか女性比率など「枠」や「比率」という限られた範疇でしか対応できていない日本企業の問題点を指摘していた。

日本企業の体質が変わるということは、企業への忠誠心がない、必ずしも完全コミットはしない人材が入ってくるということと同義です。その場合のマネジメントが、日本企業はできていない。忠誠心がなくても、会社が要求することをきちんと果たしてくれれば、文句はないでしょうに。

「変革迫る100歳社会」上野千鶴子氏〜日経ビジネス2009年4月6日号

忠誠心が皆無で良いとは思わないけれど、能力やスキルよりも(どんなに能力が無くても)会社への忠誠心によって待遇が決まる現在の日本の会社の仕組みはどうにかならないものかと思う。こんなやり方が通用するのは、ガラパゴス状態の島国であるからこそであって、海外では全然通用しない。アジアに進出した日本企業が欧米の企業に負けてしまい、優秀な人材獲得に成功できないのはその典型例だ。昔のように、製品の輸出だけなら国内でどのようなやり方をしていても許されていたのだろうけど、今のように会社そのものが海外に出て行く時代になると、組織のあり方というものが改めて問われているように感じている。