品質に対する意識の違い

あるiPhoneのアプリを見せながら年配の方に説明。「こんな機能があって、あんな事も出来て...」と自慢気に解説していたら、ソフトが異常終了してしまった。特に珍しいことではないし、目くじらを立てるほどの事でもないのだが、それを目撃した相手は嬉しそうにこんなコメントをしてきた。

iPhoneもまだまだ品質が低い。これでは売れないよ。日本の携帯電話を見給え。こんな問題は起きないだろう。日本製品の方が品質は上だよ。

確かに「ソフトウェア品質」という尺度で比較したら日本メーカーの携帯電話の方が上だろう。ソフトが異常終了するなんて、日本の携帯端末ではあり得ないことだ。品質を最優先に考えるのなら日本の端末を買うべきなのだろう。

しかしながら、世界の大多数の人は、そんな過剰品質なんか求めてはいない。手ごろな価格でそこそこの機能が使えれば充分なのだ。車の制御システムではないから人命に関わる訳ではないし、人工衛星のようにソフトウェアのバグ一つで巨額の損失をもたらすものでもない。iPhoneのソフトが異常終了したところで貴重なデータが消える訳でもないし、ちぇっと舌打ちして起動し直せば良いだけの話なのだ。

品質を確保することはもちろん重要だけど、あまりに品質を追求し過ぎてビジネスが成功しないようでは話にならないと思う。ガラパゴスと揶揄される日本の携帯電話が海外で売れない一方で、ソフトウェアの品質は劣っているかも知れないけれど、機能で勝るiPhoneAndroidは着実に販売台数を伸ばしている。品質が低くて誰も買う気がしないのなら、こんなにたくさん売れていないはずだ。少々の問題が有る事は了解した上で、新しい携帯電話で楽しめるワクワク感を期待する人が多いのではないだろうか。作り手としては、ビジネスと品質のバランスを考えた展開が必要だろうと思う。

Appleが4月8日に開催した「iPhone OS 4」の発表会で、最新の「iPhone」出荷台数などを明らかにした。プレゼンテーションの冒頭で、iPhoneの販売台数が5000万台を超えたこと、iPhoneと「iPod touch」を足したプラットフォームとしての合計販売台数は8500万台を突破したことを発表した。

全世界でのiPhone出荷台数、5000万台を突破 - ITmedia Mobile