アラートは早めに上げて欲しい

依頼していた仕事の納期を休み前の金曜日にうっかり設定してしまうと、時々痛い目に会うことがある。

  • 朝会:「予定通り定時までには終わります」
  • 昼前の定例進捗会議:「問題が見つかったので1時間遅れます」
  • 15時の休憩時:「問題の解決に手間取っているので更に2時間遅れます」
  • 定時:「問題が他にも見つかったので、作業完了は21時頃になります」
  • 21時過ぎ:『全ての問題の解決には更に3時間必要です」

修正予定の見積に何度も失敗しているのだから、その経緯から見て「3時間必要」という見込みもかなり甘い方だろう。ホントに3時間で終わるのならギリギリ本日中という約束は果たせるけれど(社内での話。社外の顧客向けならもちろんアウト)、問題の発見と修正を既に何度も繰り返しているのだから、3時間で終わるとは到底思えない。そんな訳で当日の作業は打ち切り、めでたく休日出勤の号令がかかることになる。

工場のラインで決められたものを作っているわけでないのだから、予期せぬ問題は次々と発生する。それは避ける事が出来ない宿命だと思う。外的要因も加わるし、問題の発生自体を抑えこむことは不可能だ。だからこそ、その問題発生を如何に早期に片付け、予定通りにアウトプットを出せるかという考え方、すなわちリスク管理が必要になる。リスクとは避けるべきものではなく、自分から取りに行くべきものなのだ。リスク管理はプロジェクトリーダの専売特許ではないし、担当者が自分自身の仕事をコントロールするで欠かせない考え方の一つだと思う。

今回の事例で言えば、全部の作業を作り上げた最後になって確認を他に依頼し、そこで初めて問題の所在に気づくという状態だったようだ。出来た分から逐次確認を依頼し、確認と修正を加えつつ作業を進めていれば、最後になってこのように火を噴く状態にはならなかっただろう。仮に大きな問題が見つかっても早めにアラートが出ていれば、他のメンバを応援に回すとかスケジュール調整などの対策も取れるのだが、土壇場になっていきなりリリース出来ないとなると対策の打ちようがない。結果論とは言え、日々の進捗確認は欠かせないものなのだ。

とは言え、こんな困った状況も、リーダとしては実は既に織り込み済みの事態だったりする(苦笑)。少しばかりの経験を積めば分かるように、そんな締め切り間際になって騒ぐメンバは決まっているものだし、新しく加わったばかりの不慣れなメンバも同様の問題を発生させることが多い。日頃から幾ら「やばいと思ったらアラートは早めに上げること」と繰り返し言ってみても、実感の伴わない指針はなかなか理解してもらえない。そんな訳で、一度自分自身で痛い目に遭ってもらうのが、手っ取り早いOJTの一つだったりする。

担当者には、今回のケースを題材に、チーム内のメンバとしての仕事の進め方、考え方を学んでもらえたら有り難いと思う。最初の失敗は、勉強という意味合いもあるので大目に見る。だけど同じミスを繰り返してしまうのは、経験から何も学んでいない証拠なので厳しく追求することになる。仕事を進める上で必要な、過ちを2度と繰り返さないこと、他人のアドバイスに耳を傾けること、起こりえる問題の発生を未然に防ぐこと等の考え方を学んで欲しいと思っている。