頑張らないプロジェクトの勧め

日本人はとにかく精神論が好きだから、開発プロジェクトが始まると「皆、全力で頑張ろう」という掛け声がかかるのだけど、個人的にはそのような意味の無いスローガンが出てきた時点でもう終わっていると思う。頑張って見事に成功したプロジェクトなんて見たことが無いのだ。

開発作業はエンジニアリングなのだから、個人の意気込みに依存するような性質のものではないはずだ。仮に、頑張って成功するのなら毎日の朝礼で叫びたいところだが、あいにくそんな保証は無いし、残業続きで頑張ったはずのプロジェクトは失敗に終わってばかりだ。しかも、プロジェクト終了時に出てきたのは、優秀な開発メンバの退職届だったりする。これでは一体何のために頑張ったのか分からなくなってしまう。

然るべき方針と作業項目を決めたら、後は淡々と作業をこなすのが本来有るべきプロジェクトの姿だし、そのようなお膳立てをするのがマネジメントの役割だと思う。もちろん、開発プロジェクトの途中では様々な問題がうんざりするほど沢山持ち上がる訳だが、生まれて初めて関わるプロジェクトでは無いのだ。度重なる仕様変更や予期せぬトラブルは嫌というほど経験積みだし、その経験から得られた知見を持って対処すれば、頑張る必要なんか無く課題は機械的に解決してしまう。

同じようなミスを何度も何度も繰り返し、しかもそこから何の教訓も得ることが出来ていないのなら、それはプロジェクト失敗を確約するようなものだ。意味のない精神論を持ち出す前に、考えるべきことを考え、起こりえるトラブルに備え、様々なリスクに手を先手を打っておき、冷静沈着に進められるように準備しておくことがプロジェクトの成功の秘訣だと思う。