「多い」「少ない」という不毛な議論

開発現場で良く聞くプロジェクト評価の表現として、こんなものがある。

  • バグが多い
  • 忙しくて残業が多い
  • レビューが少ない

経験に基づく直感というものは凄く大事(しかも意外に良く当たる)だし、当事者間で意識共有を図るには何も問題ない表現だと思うけど、同じ文脈を持たない部外の人には理解が難しい言い回しだ。仕事だから忙しいのは当たり前の事だし、同程度のバグ密度でも開発規模が大きければそれに比例して障害件数も増えるのは当然というわけだ。

だから、関係者以外に対してプロジェクトの状況を説明するには、簡潔な結論と共に、その根拠となる理由を客観的なデータと共に説明する必要がある。

  • 過去3年間のプロジェクトにおける平均バグ密度はxx件だったのに対して、今回はxx件となりxx%増加している。
  • 前回のプロジェクトでの平均残業時間は一人あたりの平均で毎月xx時間だったのに、今回はxx時間に増えている。
  • 社内の開発規定では仕様書10ページあたりxxのレビューを行うことになっているが、今回はそれを下回るxxしか出来ていない。

合理的な説明を行えば全員の認識は一致するし、次のステップとして問題解決の方策を探ることが可能となる。開発現場で不毛な議論が起こりがちなのは、各個人の認識の異なる点から議論が始まってしまい、そのギャップを埋めること無く話を進めてしまうからだろう。たった1つの違いでも「多い」と表現することは間違っていないが、それが本質的な表現として相応しいのか落ち着いて考える必要があると思っている。