時間に頼る働き方は半人前

最近、裁量労働制というポジションで働いている。いわゆる「給与は決まっていて、幾ら長い時間働いても残業代は(ほとんど)出ない」という位置付けだ。こんな話をすると、相手の反応は2つに分かれる。

  • 裁量労働制で働くほどの専門的能力があるのか。それは立派だ。
  • いくら夜遅くまで働いても残業代が出ないのか。それはお気の毒。

もちろん、後者の反応を示す人が多くて、同情を示されることが多い。周りの人と同じ時間だけ働いても残業代が出ないなんて、それは勿体無いではないかという訳だ。確かにそのような感想を抱く人の気持ちは理解できるのだけど、個人的には、仕事の成果ではなくて労働時間に頼るような働き方は、専門家として、或いはプロフェッショナルとしてあまり相応しく無いと思っている。

労働時間に比例して報酬が増えるような仕事は、例えば学生のバイトみたいなものだから、お金は貰えるかも知れないけれど専門知識はなかなか増えないし、経験値を積み重ねることも難しい。雇用者から見れば、他の人へ容易に取り替えが効く仕事に過ぎないので安く使われるのがオチだし、主体性なく言われるままに働き続ける姿勢も困ったものだと思う。

専門家なら仕事量が2倍に増えた時に2倍の時間をかけて片付けるのではなく、同じ所要時間で2倍の効率で片付ける方法を生み出せるはずだし、そのような力を持っているべきだと思う。目の前の仕事を言われた通りにこなすだけなら誰にでも出来るが、単に仕事をこなすだけではなく、そのやり方まで変えるだけの力を持ってこそ、本当の意味での専門家だと思う。だからこそ、プロとして仕事を続けられるのだし、それに相応しい処遇を受けられるわけだ。

学生時代に友人と皿洗いのバイトを毎晩やっていた頃、調理場の親方にこんなことを言われたことがある。

お前ら、泥臭い仕事は今のうちにやっておけ。社会勉強になるからな。だけど、社会人になったら、こんな仕事をやったら駄目だ。ちゃんと勉強して、一人前の働き方が出来るようになれよ。

その親方とはもう長い間会っていないけれど、今の自分の仕事と役割を説明したら、きっと一人前のプロとして認めてもらえるのではないかと思っている。