プロフェッショナルとして最も必要なスキルは何か?

技術者として必要なスキルは色々あるけれど、その中で最も大切なものは何だろうかと知人と議論したことがある。その中には、「自分の手で新しいモノを生み出せる力」や「曖昧な要求を確実に取りまとめる力」「プロジェクトを成功に導く力」「開発チームを引っ張る力」など広範囲に渡る能力が含まれるわけで、そのような個々のスキルを片っ端から列挙していったらキリが無いように思う。

もちろん、ITスキル標準(ITSS)や組み込みスキル標準(ETSS)のように「標準」としてまとめられた物差しもあるから、これを使えば良いではないかという主張もあるのだけど、レベルというランク付けが必ずしも意義有る評価基準とは思えないし、「私はレベルXのスキルを持っています」と自己紹介する人なんて見たことがない。せいぜい、社内の人事評価の参考として使う程度ではないのだろうか。

もう少し現実的な考え方を求めてみると、最も必要なスキルは「好奇心」ではないかと思う。好奇心と言うと何か新しい技術への傾倒を連想されがちで、確かにそれも一つではあるのだけど、実際にはもっと幅広く適用できる性質のものだと思うし、単なる性格の一つというものではなくて、学習や訓練次第でより高度なレベルに達することが出来る性質のものだと思う。

例えば、目の前で発生している問題をどのように解決するか、問題をどのように捉えるか、或いは何を問題として選択するか等々の考え方を抱き続けるには、好奇心無しでは考えられないはずだ。好奇心があるからこそ様々な問題に対して前向きに取り組める訳だし、自分の視野を広め考え方を深めることが可能になるはずだ。自ら積極的に関わり合いを持っていく姿勢は、自分自身をより高めていくための有力な手立てではないかと思う。

逆に、これは自分には関係ない、あれは指示されていないから必要無いと、自分の方から門戸を閉ざすポジティブな姿勢は、大きな失敗をしないという意味では有効かもしれないものの、あまり感心出来ないし、そもそもそんな逃げ腰の考え方を持つ技術者の中に、尊敬に値するような人はいなかったように感じる。

残念ながら、xxx標準なる基準に「好奇心」という項目は存在しないので、この辺りに客観的指標の限界が有るようだ。その人の持つ肩書きや経験よりも、「最近、興味を持っていることは何ですか?」という質問への回答だけで、技術者としてのスタンスや方向性が簡単に分かるような気がしている。