プロセス改善活動の目的は何か?

ある人から開発現場におけるプロセス改善活動の目的は何か?と聞かれたことがある。きれい事を言えば、成果物の品質向上であり、手戻り作業の削減や、前回の開発経験をフィードバックした効率的な作業ということになるだろう。もちろん、それはそれで間違っていないし、教科書にも載っているような典型的なものだけど、開発現場では何もしなくてもそれなりに作業が出来てしまうので、実は何もやらなくても良いではないかという意見を持つ人も少なくない。

  • 改善作業に手間をかけるだけのメリットがない。
  • 改善活動をしても、開発者個人には何の利益もない。
  • どうせバグは出るのだから、品質管理部門でカバーすれば事足りる。
  • 改善の結果として残業代が減るのは困る。
  • 品質は組織の問題であって、開発者個人の問題ではない。

個人的には、開発者個人として、或いは開発組織全体として改善活動を継続していかないと、国内・国外を問わず他者(他社)に負けてしまうし、今日の仕事が出来るのならそれで充分と思い込んでいる時点で、既に開発者として終わっているような気もするのだけど、そんな正論を持ち出しても話はなかなか前に進まない。

そんな訳で、こんな話しをした事がある。

自分としてはもっと楽な開発をしたい。同程度の成果を出すのなら、苦しんで仕事をするよりも、短時間で簡単に出来る方法の方がずっと嬉しい。個人として、組織として、もっと楽な開発をするための改善活動が必要ではないのか?

残念ながら、こちらの方も反応は今ひとつ。生真面目な日本人は手を抜くというと何かもの凄く悪いことをしているマイナスイメージが有るようで、「仕事に手を抜くなんてトンデモナイ。残業して頑張って働くべき」という意識から抜けきれないようだ。個人レベルの動機付けとしては、充分に納得出来る理由だと思うのだけどね。

改善活動を進めていくに当たり、まずは改善の方向性を定めるために、“自分たちが良いと考える状態を明確にする”ことが重要になります。その“良いと考える状態”に近づくことが、改善活動の目的になります。

組み込み開発フォーラム - MONOist(モノイスト)



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