シンプルな仕事の進め方を知る本「小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則」

組織の中で働いていると、時々理不尽で不合理的な規則ややり方に従わざるを得ないことがある。もちろん、組織を成り立たせるためにはそれなりの規律が必要だし、人が増えるほどにナニカ良からぬことを企てる人が出てくるのは人の世の常だから、ある程度の制約は仕方ないにしても、それにしてもなぁと思うことがある。たぶん、昔はそんなややこしいルールなんて無かったのだろうけど、時間の経過と共に、また組織の成長と共に余計な約束事という贅肉が付いてきてしまったのだろう。

もちろん、同じような不便を感じている人も少なくないので、今風のやり方に改めれば結果的に時間もコストも省けるはずなのだけど、なぜか組織の文化の中にどっぷりと漬かっていると、そのような改善を善しとしない人たち(抵抗勢力なのか?)もいるのでややこしい。慣れ親しんだ方法から離れるのは難しいようだが、もしそんなややこしい決まりごとやルール、面倒な仕事の進め方、時間ばかりかかる会議などを取っ払ってしまったらどうなるだろうか?

「小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則」にはそんなシンプルな仕事の進め方が紹介されており興味深い。余計な物をそぎ落としていくと何が残るのか、生産性を高め、自分たちの進む方向をどのように決めていくべきなのか、ベンチャー企業の成功事例としても面白い本だけど、自らの仕事の改善策を探る上でも、有益なヒントが幾つも有るようだ。

このやり方を取ったからと言って同じように成功するという保証は無いし、組織の規模が大きくなっても同じやり方が通用するとも思えない。しかしながら、理不尽な仕事の進め方に対する1つのアンチテーゼとして読んでみると面白いと思う。個人的には下記の一節が気に入った。自分に対して「忙しい」という言い訳をしたらそれは負けの証拠だと思う。

何か本当にしたいことがあれば、他にやることがあろうとも時間を作る。残念なことに、多くの人はそれほどではないのだ。そして彼らは時間を言い訳にして自尊心を守ろうとする。言い訳してはいけない。夢を実現するのは、完全にあなたの責任なのだ。そのうえ完璧なタイミングは決して到来しない。いつも若すぎたり、年寄りすぎたり、忙しかったり、金がなかったり、その他いろいろだったりする。完璧なタイミングのことばかり考えていても、それは絶対にやってこない。

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)

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